残心について



 「残心」という言葉をご存知ですか?

武道において、技を終えた後も油断せず、相手から心を途切れさせないことを言います。

倒したと思っていた相手が、実は死んだふりをしているだけで、いきなり反撃してくる場合もありえます。そんなとき残心があればとっさの対応がとれます。


 剣道では一本とったあとに「やったぜ!」とガッツポーズしたりするとおごり高ぶっていて残心がないと見られて勝ちを取り消されたりする場合もあるそうです。

 芸道においても「残心」は大切です。

茶道においては、客が帰った後もさっさと茶器を片付けたりせず、一人残って茶をたて、今日の出会いの余韻、一期一会をしみじみと味わうこと、それを残心というそうです。

 物づくり の職場においても、弟子が仕事の後の道具の片付けをきちっとしないと「残心がない!」と親方に怒鳴られたりします。

画家が長い時間集中して絵を描いていて、「あ~あ、やっと仕上がったぁ♪」と伸びをした途端に、うっかり絵にお茶をひっくり返してしまったりするのは残心がないせいとも言えます。

 私たちの日常生活においてもいろんなところで残心が必要ですね。

 学校の先生が家庭訪問してきて、精一杯おしとやかな主婦として対応していたのに、お客が帰ってすぐに「やれやれ、終わったぁ♪」と床に寝っ転がっておせんべくわえた途端に「すいません。忘れ物しました」と先生が戻ってきたりして 笑

 要は残心がないと「雑な人」になってしまうわけです。

 心を途切れることなく つなぐ・・・これってとても大切ですね。

悪いことや嫌なことは一晩寝たら忘れてしまうのがいいでしょう。

でも良いことや感謝すべきことは、心に忘れないようにしてその余韻を楽しむ・・・あなたもやってみませんか。



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