第12話

 私たちはその後もよく2人きりで自習した。分からないところをお互い共有して、私の成績も絶好調だった。


 そして、ある日西原くんの隣に誰か見覚えのある人が座っていた。

 それは、笹原くんだった。

 確か、同じ塾で同じ某衛生予備校に通ってて…。そうだ、クラスメイトじゃん。

 その頃の笹原くんの認識はそんなものだった。

「あ。来たよ、お前の彼女。」

「は?何のことだか?」

「とぼけるんじゃねーよ。1年のころからから噂されてるの知らないのかよ。」

 そんな2人の会話を聞いて私は顔が赤くならないはずがない。

『西原くんが私のこと好きって噂があったの?なんか、耳にしたことがあるような気がしてたけど本当なの?!』

 私は思考回路がショートする寸前だった。その時、

「いい加減にしろって。あいつ困ってるんじゃん。」

 西原くんの一言で現実に戻された。


 私は、その一言が少し悔しかった。

 噂を少しでも認めて欲しかったのに…。

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