第11話

 西原くんに掴まれた左腕を見て、私がどれだけ胸が高鳴ったか、西原くんは知らない。

 私は、とりあえず椅子に座った。

「どうしたの?急に。話したいことがあるなら聞くけど?」

「いや、特別話したいことがあるわけじゃないんだ。ただ、とめてみただけ。」

 そう言ってニコッと笑う姿を見て私は少しだけ辛かった。「一緒にいてほしい。」とか、言ってもらえることを妄想していたのに…。


 西原くんは別に私のことなんて友達としてしか見てない。

 そんなこと、分かってるのについ期待してしまう自分が嫌だった。


 そのあと、特に何事もなく自習を終えた。


 家へ帰り着いても、ずっと頭の中では西原くんのことしか考えられなかった。もう、依存症だな。とか、言いながらその日は眠りについた。

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