第9話

『俺がどうにかして守ってやるから。』


 私はその時初めて胸の奥がくーっと締め付けられる感覚を覚えた。やっぱり恋だなと改めて西原くんを好きだと思った。冷静に考えると、西原くんが言ったことはかなりナルシストな発言だと思ったが、私を心配して言ってくれたことであり、そんなことはどうでもいいなと思った。


 2年生の初夏。私は塾に行こうか迷っていた。いくら難関と呼ばれる中学受験を乗り越えたからと言っても小学校と中学校の勉強は全然違う。そんな時に、西原くんと2人で帰ることがあった。私が塾を迷っているということをさりげなく言うと、

「俺と同じところくれば良いじゃん。俺は個別だけど動画で受けられるやつもあるし。自習スペースも結構あるよ。」

 と、アドバイスしてくれた。家に帰って、お母さんに話すとちょうどお母さんもその塾を考えてたらしくすぐに見学に行く事が決まった。


 その後、見学を終え西原君と同じ塾に行く事が決まり、西原君にもその旨を伝えると、

「明日来る?一緒に自習しよ?」

 私は、心臓が飛び出るくらい嬉しいのを顔に出さないように、

「うん。いいよ。」

 と、平静を装って応えた。


 そして、次の日を楽しみにその日は2人で帰った。



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