第8話
私が西原くんを好きになったのは中学1年生の秋。正確には好きなことに気付いたのは。
たまたま席が私の斜め前で授業中でもしょっちゅう話していた。そうしているうちに、仲良くなった。それから、2人で帰ることもよくあった。2人でいるととても居心地がよくて、なんでも話してしまう。お互いにそんな関係だった。
2年生になって私たちはクラスが離れた。それでも、毎日話していたし、たまには2人で帰っていた。西原くんは、背も高くて普通にかっこいい。だから、学年で1位2位を争うほどモテていた。ある女の子が西原くんのことが好きだという噂が流れて来た。私はその子よりも見た目が劣っているし、明るい子だし負けだな、と思っていた。そんなことを考えながら昼休みに廊下で友達と話していた。すると、西原くんはいつもより真剣な声で
「話したいことがある。来て。」
そう言って私を廊下から連れ出した。
校舎の中でも人通りの少ない踊り場まで来た時に突然彼は謝った。
「ごめん。本当にごめん。」
私は、わけがわからなかった。
「ね、なんで謝ってるの?何もしてないじゃん?」
「いや、してるよ。栗田さん、俺のこと好きだっていう噂が流れてるでしょ?」
私は、すぐに噂の栗田さんの顔が浮かんだ。正直、思い出したくない顔だったのにと思いながら彼の話を聞いた。
「栗田さん、恋愛に関しては怖いって聞いて、俺とお前が仲が良いことに嫉妬するんじゃないかって思って…。何か困ったことがあればすぐに言えよ。俺がどうにかして守ってやるから。」
「え?うん。ありがとう。」
私がそう言うと、西原くんは笑顔を向けその場を去った。
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