第二幕:補充要員(二)
森のハズレの原っぱに現れた、大人が両腕を広げたぐらいの直径の穴。それは太古の昔に地上に住んでいた神々が自分たちの宝を守るために作った宝物庫への入口であった。
普段、宝物庫は
しかし、数百年単位で魔力を補充するために、
そう。
しかし、そうとわかっていても宝の魅力は、リスクに勝ることもある。なにしろ神々の宝は、どんな品でも贅沢をしなければ一生暮らせるぐらいの金になるのだ。
そんな一攫千金の夢を求めて、命知らずの冒険者と呼ばれる者たちが
ただ、無秩序に冒険者が入っていても被害が拡大してしまう。
そこで押し寄せる冒険者たちを管理するため、
その建物は
「お待たせしました。えーっと……やっぱり条件が合う人もいませんし、申し込みもありませんでしたね」
その棟の1つである
昨日の夕方。新規加入したばかりのパーティーメンバー2名に脱退された後、
それでも、返事はこの通りだ。というか、彼が今日、
「まずいんだ! 明日、出発だからメンバー変更手続きは今日中だよね!?」
「ええ、そうなりますね。……もし、取り分をもっと増やすのでしたら、上位ランク者を招くという手もありますが」
「これ以上の分配比率は、メンバーが納得しない。……ああ。昨日、解約した2人分の冒険者補償はもらえないの?」
「今回の場合、正当な解約事由に当たるので、冒険者保険の対象にはなりませんね」
「くそっ!
「そうは言われましても、魔神級というリスクを考慮した決まりですし……ただ……」
そう口ごもると、
ここは横に長いカウンターテーブルがあり、間に簡単な仕切りがついているだけだ。当然、横に誰かいれば話は聞こえてしまうだろう。
しかし、今は隣には誰もいない。それを彼女は改めて確認すると、前のめりに顔を突きだし、小声で1つの提案を口にした。
「わたくしがこういうことを言うのはなんですが……人数さえそろえばいいということでしたら、
「……へ?
「いえ。割合は少ないのですが、冒険に同伴して、荷物運びや地図作成などを受け持つ人もいるんです。それにこの
「評判いいと言ってもなぁ……」
「ちょうど明日からの予定は空いているみたいですが……どうします?」
「…………」
もう時間がない。もし、抽選で当たったのに、探索に参加しなければしばらくは参加権限を失うことになる。そうなれば、
「……わかりました。その
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます