海の色

 君は学校の美術の時間、海を絵具で描くことになったとしよう。その時君は何色で海を描くだろうか。

 ファンタジーな世界と現実世界、カレーとバナナ、サッカーボールとバスケットゴール。これらをすべて人は好もうとしない。組み合わせるべきではないものが合わさると、それぞれを好む人でも一緒になってしまえば話は変わってくる。

 どうしてこんな話をしたかというと、物事には織り交ぜて考えてはいけないことがたくさんあるということを言いたかったからだ。

絵具で海を描こうとしたとき、筆に付けるのは青系統の色。その色と情景を見れば、普通は「海だ」と思ってくれるからだ。でも実際海が常に青いとも限らない。曇りの日なんかはうす気味悪い色になってしまうじゃないか。

でも、灰色で海を描いてはいけない。「海」と認識されなくなってしまうからだ。

 どうして人は海といえば「青」と考えてしまうのだろう。その一番の理由は、これまで人が美しいものだけに目を向け、好まないものから目をそらしてきたからだ。灰色の海なんて誰が望むだろうか。そう思ってしまう。本当に都合の良い生き物である。

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