第5話 今後の方針について話合いです

「狭い家ですがどうぞ上がってください。」


リリーのお母さんに促され玄関を通る。

入ってすぐに靴を脱ごうとしたら怪訝な顔をされた。

日本人の習慣病で玄関を通ったら靴を脱ぐ癖が出たのは仕方ないだろう。

どうやら靴は脱がなくて良いらしい。

あれだね、アメリカとかみたいな感じのー……あれって何って言ったけ?


「準備するのでそちらの空いているお部屋でお待ち下さい。リリー、準備を手伝って頂戴。」

「はーい。」


数有る部屋の内の一つに通されそこで待つことになった。

因みにリリーの家はかなり大きい。

二階建てで、家の外はレンガ作りの塀で囲まれており庭が有る。

中はチラッとしか見えなかったが3人で食事を取るには広いだろうと思う程のリビングに大きい縦長のテーブル、キッチンも二人で料理してもゆとりのあるスペースがあった。

部屋数もかなりの数がありちょっとしたお屋敷だ。

ゲームではイベントでリリーの家に行く事が有るがそこはゲーム、家の大きさは実際見るのとでは違って見える。


「しっかし、リリーの話で聞いていたがやっぱりかなりでかい家だな。」


和也はリリーと森で話している間に家の事について聞いていたようだ。


「さて、今の内に話すか。」

「何を?」

「今後どうするかについてだ。」


ゲームの中に来たまでは良いとしても、今後どうするかは考えなくては行けない案件だ。

パーティーまでは少し時間がかかるようだから今の内に和也と相談しようと思い話を持ち出した。


「どうするも今は何をすれば良いのか分からない状況だろ。その内神様か何かが出てきて、あれしろー、これしろーって言ってくると思うぜ俺は。」

「俺も最初はそうだろうと考えた。けど、こっちに飛ばされて最初にお告げがあった訳では無いだろ。だからある程度目標を決めて行動した方が良いのではと思ってな。」

「んー、ここで気楽にのんびりライフを楽しむで良いんじゃね。」

「それも悪くはないがせっかくこっちに来て魔法も使えるんだ、少しは冒険してみたいと思わねー?」

「……それもそうだな。で?どうするよ。」

「そこで、ここから近い王都に行ってみないか?」

「王都にか……」

「王都に行けばギルドが有るからそこで手軽なクエストをやって金稼ぎと時間つぶしをしてようかと考えている。」

「悪くはねーな。」

「だろ。」

「よし、とりあえずの今後の目標は王都への到着、そこでの資金稼ぎ及びレベル上げでって事で。後は、王都に向けていつ出発するかだな。」

「王都までの距離を調べるのと装備の準備、必要なアイテムに旅用の食料。あと、出来れば馬車が欲しいが……まぁ、無理だろう。それらの準備で多分早ければ3日後のお昼にはここを出発出来るな。」

「3日か……オーケー、それまでこっちも準備をするぜ。」

「決まりだな。」

「おう。」


おおまかでは有るが今後の方針は決定した。

後は王都までどれくらいの日数がかかるかだが、それは明日にでもリリーの両親のどちらかに聞けばいいだろ。

食料も森に入れば食べれる物が見つかるだろうからどうにか出来る。


「にしても暇だな。」

「お、それなら和也。氷の魔法で遊ぼうぜ。」

「氷の魔法でか?」

「おうよ。俺達一応魔法は使えるだろ?だけどそれはゲームで見た事の有る攻撃魔法で、魔力についてどこまでコントロールが出来るか解らねー。」

「当然だな。俺らは元々魔法が使えたわけじゃぁねーんだ。適当にバイトやって、家に帰ったらゲームしての普通の一般人だったからな。」

「だからこそ、色々とやってみたいと思わね?」

「なるほどな。んで、どうするんだ?」

「森でのゴブリンや猪を倒した時に魔力制御を試したんだ。ファイヤを使った時みたいにならないように魔力抑えないとお前を巻き込む危険が有ったからな。」

「フレンドリーファイアだけは勘弁だもんな。」


和也は軽く笑いながら言っているが、目が本気マジだった。


「だから、そうならない様に練習をしようぜ。」

「そうだな。で、どうやるんだ?」

「よし、そうだな……」


俺達はパーティーの時間まで魔法で遊ぶことにした。

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