貴様らが何処に隠れようが、上を見上げれば光が照らしている、それが私だ①
「さぁ起きろクソドラゴン、もう起床の時間だ」
軽く肩を揺すられて瞼を開くと、私の腕の中に捕まったカミラが、不愉快そうな顔で私を睨んでいた。
私の腕からすり抜けようと頑張るカミラを足で引き止め、もう一度抱き寄せて重い瞼を閉じる。
痛みが生じないように抵抗せずに腕を離すと、その隙に逃れようとするが、まだ掴んでいる左手で押さえる。
「おいクソドラゴン、今日はよく晴れて休日には最高の日だ。それなのにいつまで寝るつもりだ?」
「あと1000年、どうしても動きたくない時くらいあるだろ。それが今なんだ」
「なら仕方が無い、私が行き遅れたのもお前の責任だ。責任を取れ……」
「もうこんな時間か、良い青空だな。憂鬱に負ける気がしない、よし行くぞカミラ」
「おい、そんなに私に魅力が無いか。料理も家事も全て出来る、優良物件だろ」
「喋り方が汚い、すぐに手が出る、怒ると目付きが悪くなる、女っぽくない。他にも色々聞かせ……」
突然飛んで来た回し蹴りをしゃがんで避けるが、もう一回転して来た足がガードした腕に当たり、向かい側のベッドの上に吹き飛ばされる。
間髪入れずに膝から腹の上に着地したカミラが、言った通りの悪い目付きで拳を振り上げ、顔の隣に思い切り振り下ろす。
「悪い所ってのはこういう所かクソドラゴン、これは直せそうにないな。最早長年染み付いた、甘っちょろい覚悟で来たクソ共を鍛え直すものだからな」
「かっこいいな、殴られるのが好きな変態と結婚しろ。私はそう言う趣味は無い」
カミラをひっくり返して形勢逆転し、今度は昨日気付いた、予想以上に細い腹に跨る。
「ほぅ、今度は貴様が殴る番か?」
「そうだな、俺は殴られるより殴る方が好きだからな」
「生憎だが、私も
「カミラ様! ミレニア様が現在帝国兵と交戦して……おり、御助力を……」
突然飛び込んで来た公国の騎士が私たちの状況を見て、どんどん勢いのあった声を殺していき、遂に全て言い終わる前に黙らせてしまった。
私は何事も無かった事にするため、無言でカミラの上から下りて、自分のベッドに戻って布団を頭まで被る。
「私がわざわざ行かねばならんのか、ミレニアでは手に余ると」
「い、いえ、そういう訳では御座いませんが。幾つも隊を分けて公国領に侵略しており、将が不足しております」
「分かった、付いて来いクソドラゴン。生憎だが今日の私は機嫌が悪い、加減は出来んとお前たちの王に伝えておけ」
「はい! 御助力感謝致します!」
大きな声を最後まで振り絞った騎士が走り去ると、被っていた布団がカミラに引き剥がされ、襟首を掴まれて引き摺られる。
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