先代旧事本紀
古史古伝シリーズで最後の紹介するのは先代旧事本紀、通称旧事記です。聖徳太子が編纂したと言われるこの書物、一時期は記紀と同列に扱われ、時代によっては記紀よりも尊重されていた時もあったと言います。
ですが、江戸時代に入って序文の文章に異議を唱える学者が現れ、偽書だとされてしまいました。
旧事記と呼ばれる10巻本に対して内容の異なる異本が幾つか存在します。その中で現存するものはササキ伝31巻本・72巻本・伯家伝30巻本 (『旧事紀訓解』)の三種、この中で72巻本を先代旧事本紀大成経と言います。この大成経、学術的には旧事記とは別のものとされています。
先代旧事本紀大成経は江戸時代に一旦ブームになるものの、それが神職者の権威付けによる捏造だと騒がれて発禁処分にまでされてしまいます。真相はと言うと神職達の勢力争いによって潰されたようなのです。
さてさて、そんな謂れのある大成経ですが、中身は古事記より古い天皇家と物部氏などの六家が隠し持っていた秘録を集成したものとされています。各家ごとに異なる神代文字で書かれていて各一族の秘中の秘であったのですが、聖徳太子のたっての熱意によって書物は集められ、秦河勝が今の文字に翻訳して書いて大成経は出来たのだとか。
神代文字! 古史古伝! 今では現存していない物部文書などの内容もこの書物に含まれているのだそうです。なので古史古伝扱いなんですよー。実際、各古史古伝はこの書物をネタにした書かれたのだと言う研究者もいます。
で、大成経の中身なのですけど
1首・神代皇代大成経序、2首・先代旧事紀目録
1巻・神代本紀(天地開闢と祭祀の 発祥)、2巻・先天本紀(偶生神七代の系譜)
3巻・陰陽本紀(国産み・神産み神話) 、4巻・黄泉本紀(黄泉国神話)
5~6巻・神祇本紀(三貴子の出生)、8~9巻・神 事本紀(天岩戸神話)、9~10巻・天神本紀(ニギハヤヒの事蹟)、11~12巻・地祇 本紀(出雲神話)、13~14巻・皇孫本紀(ニギハヤヒの子孫の事蹟)、15~16巻・天孫本紀(日向神話)
17~22巻・神皇本紀(神武~神功)
23~28巻・天皇 本紀(応神~武烈)
29~34巻・帝皇本紀(継体~推古)、35~38巻・聖皇本紀 (聖徳太子伝)
39~44巻・経教本紀(神道教理)、45巻・祝言本紀、46巻・天 政本紀、47~48巻・太占本紀、49~52巻・暦道本紀
53~56巻・医綱本紀、57~60巻・礼綱本紀、61~62巻・詠歌本紀、63~66巻・御語本紀、67~68巻・軍旅本紀
69巻・未然本紀、70巻・憲法本紀、71巻・神社本紀、72巻・国 造本紀
以上、全72巻・付録2冊となります。
古事記より詳しい日本神話の記述やら天皇家の歴史やら宇宙の創生過程やら占いなどの古代の叡智から、道徳的な内容、既存宗教についての解説、未来予言など幅広い内容が書かれているそうです。
古代天皇は異形の姿であったとかの衝撃の事実やら、今では結構知られるようになった十種の神宝の事について書かれているのもこの書物ですね。
十種の神宝とはその宝物を駆使して祝詞を唱えると死者が蘇るとも言われた不思議な力の宿るお宝の事です。
それと、聖徳太子の未来予言が書かれているともされていますね。69巻の未然本紀がそれに当たるんだったかな。同じく太子の予言書とされた未来記と同一視されたりもしますが、別物だとの事。
古史古伝って真書だ偽書だと騒がれていますけど、問題は中身です。何を書いているか、何を訴えているか。些細な事に囚われて本質を見失わないように。調べると面白いですよー。
皆さんも是非ググって関連情報にアクセスしてみてくださいね。
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