鉄砲オヤジ 2

 翌日、定時でとっとと退社すると、俺はネットで調べたオプションパーツの実物を見ようと、駅の近くのエアガンショップに足を運んだ。

 悪の代官と取引してそうな名前のそこには、無数のエアガンと、それのパーツで埋め尽くされていた。しかも良心価格だ。

 まずは外装関係を物色する。ドットサイト、タクティカルライト、フォアグリップにレーザーサイト。あれ、レーザサイトがない。自主規制ってやつだろうか?

 クレーンストック、レールカバー、キーモットってなんだ? すげえ、レールを追加できるシステムなのか。

 色もグリーンやらカーキやら迷彩やら、赤青金銀なんてのもある。どこで使うんだそんな目立つ色?

 ガラスケースにへばりついて物色するおっさんにキモイもの見る視線が殺到するが気にしない。


 さて、俺のM4をどうしてくれようか。最新特殊部隊カスタムも出来そうだし、PMC〈民間軍事会社)カスタムもカッコよさそう。わざと古めかしくベトナム戦ぽくするのもありか。いっそアニメマンガ調にするのもいい。

 いやいやいや焦ってはいけない。欲望に任せてごてごて付け足すのもいいが、それだけでは浅薄というか物足りない。設定というかストーリーというかロマンが欲しいところだ。

 ロマンロマンロマン……と考えて真っ先に思いついたのは、ランボーでもコマンドーでもダイハードでもなくて、スプリガン。

 M4関係ねーじゃねーかの突込みは彼方に投げ飛ばして、古代遺産を守るために様々な悪の組織と戦う男、それが俺。そういう設定で行こう。

(学生でもないしイケメンでもないし、腹の出かかったおっさんだけど、気分だけは主人公だ)

 そういうことだ。

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