-第12話-【絶望】

『翼!ねえ、起きて。』

誰だこの声。どっかで聞いたことあるような…。記憶の底から、何かが出たがっている。何だ。これは。お前は誰だ、そう問おうとしたが、何故だろう。言葉が出ない。お、ピントがあってくる…ような…

「起きて!翼!起きてってば!」

ん?コマ?俺は起き上がって周りを見渡す。やけに冷房が効いてる部屋だった。

「ねえ、ここどこ?」

「どこも何も、新しい武器の練習中に顔からぶつけて気絶してたんだよ!!」

「え?マジ!?」

まじかー、ださ。俺。少し動いてみたが、普通に動けたので訓練に戻った。

「はぁー…。つーかーれーたー。」

「おきろー、つばさー!飯食いに行くぞー!」

「うぃー…。」

新しいことするとつかれんだなー。訳の分からぬ思考を巡らせ、食堂に向かう。

美味い。飯を食うと、やっぱり元気が出た。

「うんめー!」

「飯食い終わったら、風呂な。」

「おう!」

30分くらい過ぎた所で、思い出した。

「あれ、小太郎は?」

「あ、確かに、どこいってんだろ?」

「まあいいや、部屋に戻ったらいるでしょ。」

「だな。」

俺達は部屋に戻る…が。

「小太郎いないじゃん!」

「うーわまじかー…。」

「眠くて探す気になれんわー!」

「寝てたらくるよな。」

「だな。」

この時はまだ、気づいていなかったのかもしれない。事の重大さに。背後にいる奴らに。





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