-第11話-【新兵器】

 いつになっても日本は熱い。何十年も前に地球温暖化がどうだとかなんだとか言っていたらしいが、結局何も変わらず、日本の気温は上がるばかりだ。今日は例によってあの【東京区第一支部】の実装実験を経て新たに武器として開発された新兵器のお披露目があるそうだ。それも、第一支部の奴らによって…。

「只今より、東京区第一支部による試験運用を合格し、本日より運用が開始される新兵器の披露を行う!」

橘隊長の掛け声とともにどこからか微かにガスの『プシュー』という音が聞こえた。

『おいおい、大丈夫なの?』

『わかんない…。けど大丈夫だよね?』

日々ガス爆発の脅威にさらされているのでこういった音には敏感だ。俺もどうするのかと思っていると…。

『プシュー!!!』

ガスの破裂する音がした…、その後『キュイーン!』とワイヤーを巻く音が聞こえてきた。

『おい!あれ見ろよ!』

誰かが叫んだ。俺たちは皆上を見上げた…。

「すっげー…。」

思わず言った。なぜなら、うえを、あいつらが飛んでいたから。あいつらの背中には縦30㎝、横15㎝、高さが10㎝の丸みがかかった箱状のものをそれぞれ2つずつ携えていた。あれ、俺、今までで初めてあいつらをいいやつだと思っているかもしれない。そして、これを今日から使えると思うとわくわくした。

 放課後、早速一人に一台新兵器は支給された。前方にワイヤーを吐き出す穴と、その奥にはワイヤーを引っ掛けるためか、ごつい針が付いていた。ワイヤーは、目分で30m位はあるな。あ、それと一緒に尻を保護するパットも配給されたんだった。やっぱ、金があるっていいな。そんで、名前はなんていうんだろうか。そう思って兵器を見ていると、側面に【Enter The Sky】と書かれていた。意外と普通の名前なのね。空に入る。だなんて普通すぎるわ!いつも通りツッコミを入れ、俺も訓練を始めた。奴らに少し話を聞いて、実際に使い始めた…のだが…。これ、難しすぎる…。使えるのはまだまだ先かな。地面に顔を打ち付けながら、俺はそう思った。

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