-第9話-【ココハセンジョウ】
目の前に立ちはだかっていたのは、襲撃者達だった。やばい。俺らは反射的に別の通路に逃げた。後ろから銃声が聞こえた。本当に、こいつらは人間なのだろうか。まあ、俺らも敵を殺さないまでも、傷つけているのだから、同じか。などと、場に合わないようなことを考えていたが、どこから入ってきたかも分からない襲撃者達相手に、防弾チョッキもない丸腰で逃げ回るのは危険だ。銃声が聞こえなくなった所で、俺達は隠し扉に入った。学防隊が万が一に備えて用意してあった隠し扉だ。まさか、ほんとに使うことになるとは…。あ、そうだ。周りに伝えとかなきゃ。俺は無線の周波数を司令の周波数にしてから、
「こちらDー01分隊。学防隊第一移動用通路にて、襲撃者を確認。侵入経路は不明。遅レ」
『こちら司令、了解した。直ちに隠し扉から別経路で戦闘用意せよ。オワリ』
その後、
『只今、襲撃者の学防隊第一移動用通路への侵入を確認。総員直ちに緊急時戦闘体制Aに移れ。我々はあくまで専守防衛だ。そのことを忘れるな。』
共通無線周波数に橘隊長の声が響いた。その後、壁の向こうでぐオーンとシャッターの閉まる音がした。ちなみに、緊急時戦闘体制Aとは、地下(学防隊本部基地)に敵が侵入した時、発動される非常用体制のことで、地下の各所に設置されている防弾扉が閉鎖され、襲撃者達の動きが止まったところで、攻撃があれば反撃。無ければ拘束して警察に差し出すことになる。それが橘隊長が言った【専守防衛】である。俺達は隠し扉から繋がっている地下道を通り、いつもの戦闘待機室に向かった。隠し扉を開け、中を確認したが、まだ襲撃者たちは来てないらしい。
「コマ、施錠。」
「了解。」
『ピピー』
機械音と同時に、
「こちらDー01分隊、只今学防隊第2戦闘待機室を施錠した。パスナンバーは、一二〇〇(ヒトフタマルマル)。繰り返す一二〇〇(ヒトフタマルマル)。」
共通無線周波数にコマが叫んだ。
さて、俺も仕事しないとな。無線の周波数を司令に合わせ、
「Dー01分隊、戦闘に参加します。支持を願う。送レ」
と言うと、
「こちら司令、防犯カメラにて地下第38区画に襲撃者を確認。一番近い隊がDー01分隊のため、反撃、あるいは拘束を要求する。オワリ」
あと二区画先か。ダッシュで行くか。
俺は周波数をこの隊のものに合わせ、
「こちら翼。司令からの周波数を共有設定にしといたから、分隊の周波数をセットしといて。この後38区画に行くよ。走って。」
「了解。」
その後俺らはダッシュしてドアに向かった。
ドアの前に行くと、壁に寄りかかってドアノブを握る。ICカードをかざしてロックを解除し、指言葉で『お前が開けろ。俺が入る。』と送りドアに寄った。俺は自分が持っているSMG(サブマシンガン)を見て以上がないことを確認。よし。コマと俺は頷いて扉を開ける。襲撃者たちは反射的に銃をこちらに向け、引き金を引いた。
『パァン!』
よし、撃たれた。防弾チョッキにうまく当たったことを祈り、俺も引き金を引く。
『ババババババ!!』
連続的な銃声が鳴り響き、襲撃者たちが倒れた。弾を打ち切った。よし。これで問題なし。そう思った瞬間、相手の一人が立ち上がり、俺に引き金を向けた。
『パァン!』
銃声が響いた。
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