-第3話-【日常③】
「ただいまー。」
俺とコマは児童保護施設のフロントにいた。そう、ここが俺達の我が家だ。
「あーら、おかえりー!」
受付のおばさんだ。
「あ、そう言えばまた今日もテロあったんですって。よく頑張ったわねー。」
おばさんとちょっとした世間話をしたあと、俺らは自分たちの部屋へと向かった。
【502号室】と書かれた看板の前に立ち、
「翼とコマでーす!」
と言うと、中から
「どーぞ。」
と、ガキっぽい声がした。ガチャ、と中に入ると、同室の宮田小太郎が待ち構えていた。
「ねーねー、きょうもたたかったの?」
といかにも子供っぽい小太郎が聞いてきた。
「あー、そうだけど。」
「えー!まじで!ぼくもたたかいたいー!」
はぁ、こいつ、戦場の過酷さも知らずに。まだガキだなと思いつつ、
「来年かな…待ってるぞ!」
と言って風呂に行く用意をした。
風呂は大浴場だった。だけど、こんな遅い時間だと、俺らのところは入ってるやつはだいたい学防隊のやつらばかりだ。
風呂場に行くと、予想通りほかの2年や3年の先輩、大人の学防隊の人達が先に入浴していた。
「おー、翼かー。おつかれー!」
「あ、お疲れ様っす。」
話してきたのは仲の良い大人の谷口誠さんだ。
「お前ら、明日1年に学防隊の紹介だろ。やること決まってんのか?」
あ、そう言えば明日か。
「あー、大体は決まってるよ。」
もう何年も一緒にいる仲なので、みんなタメ口だ。
「そうかそうか、今年は200人くらいは欲しいな。お前んとこの学校で。」
「まあ、一学年1500人で200人だったら集まるんじゃない?」
「まあ、そうだな!にしても、一学年1500人って、大した数だよなー。」
「まあ、しょうがないよ。あんな事があったんだから。」
喋ったあと、しまったと思った。誠さんも、少しくらい顔になった。
「あ、誠さん…ごめん。」
「いや、いいんだよ。どうせ、無かったことになんかなんないんだから。」
その後は、喋ることなく時間が過ぎた。風呂上がりに、誠さんが
「んじゃ、お前も早く寝て明日頑張れよ!おやすみー。」
「はーい。おやすみなさーい。」
誠さんに変な気持ちにさせちまったな。明日、頑張るっきゃないな!俺はそう決心した。
「あ、コマー!」
「お?どうした?」
「明日、頑張ろうな!」
「お、おう!」
コマも笑ってそう答えた。
「いやー、やっぱ風呂は最高だなー!」
風呂場から帰り、俺らは寝床についた。
布団の中で俺はふと思う。誠さんも、子供いるのかな。いるんだったらその子供、羨ましいな。だって、俺らに両親なんていないんだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます