-第2話-【日常②】

「ふぁー、疲れたー。」

俺や駒井、ほかの仲間達は戦闘服を脱いで出動した時の地下にいた。

「にしてもさ、久しぶりだったからちょっと手こずったよな。」

「うんうん。やっぱ訓練は大事だな。」

「あ、でも橘隊長が今日は疲れただろうから訓練は明日でいいって言ってたよ。」

「まじかー、まあいいや。今日は疲れたわ。」

「あ、そう言えば、明日1年生に学防隊の説明だよな。」

「そうだったな…」

今日の具合じゃ、あんまいい印象は持たれないか…。俺はそんなことを思いつつ、仲間達と地上に戻った。

『教師は安全を確認したあと、生徒を教室に戻してください。本日の授業は終了にしてください。破損があれば内線502に連絡を…』

まだ放送してんのか。そんなことを思っていると

『学校防衛隊は至急、第2作戦会議室に集合してください。状況の報告をします。』

橘隊長の声で放送が入った。

え、なんだろう、急に。いつもなら翌日に状況の報告をするはずなのに。なにか、嫌な予感がした。

『ピピッ』

カードをかざしてロックが解除された。

『ガチャリ』と、いかにも分厚いドアを開けて俺は中に入る。

「全員所定の席につけー。」

橘隊長の声が響いた。

「はーい」「うぃーっす」とか、やる気がないんだかわからないような声で皆答えた。全員が席につくと、橘隊長は、

「只今より、【6月1日発生テロに対する防衛作戦】の報告会を開始する。」

うわ、だっさ。毎回こうなのだ、何月何日発生テロに対する防衛作戦、とか長ったらしいわ!とツッコミを入れると

「本日の作戦では、重傷者が1名でた。」

橘隊長は俯いて話した。俺もゾッとした。今まで軽傷者はたくさん見てきたが、重傷者は初めてだった。会議室内がザワザワしだした。

「えー、そして…それに伴い、防衛装備をより頑丈にするそうだ。」

そりゃ、そうだ。なんせ戦っているのはほとんどが中学生なのだ。死者でも出されたら俺らは戦えなくなる。あの全くもって機能すらしなくなった政府に潰されるのなんか御免だ。

結びに橘隊長は

「我々が戦えるのは、刑法第36条の拡大解釈があるからだ!そのことを忘れるな!では、解散!」

はいはい。いつものお約束ね。その後、ぞろぞろと皆帰っていった。


「コマー!我が家に帰ろう!」

「おう!ってよー…お前な、俺らの帰るとこは我が家じゃねーよ!」

コマは笑いながら答えた。そう。俺たちに我が家はないのだ。

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