-第1話-【日常①】

『ガッターン!』

激しい音とともにベットから落とされる。

「っててて…」

ぶつけた頭を押さえた俺は、ふと思い出した。

「いつになったら、忘れられる?」

だれがいるわけでもないが、ふと問う。もちろん返事は帰ってこない。自分でも馬鹿みたいだと思い、失笑した。

「さてと、行きますか。」

急いで支度をし、俺は学校に向かう。


俺は教室に入って机にうなだれた。

俺は高田翼。中学3年生。普通の男子中学生だ。

「お前また寝不足か?」

とか言いつつ、自分も眠そうな声で言ったのは親友の駒井祐樹。みんな“コマ”って呼んでる。俺はうなだれたまま

「うっせーなー。」

と返した。はあ、だりー。

その日の授業は格段につまらなかった。

理由は簡単、体育がなかったからだ。唯一の得意教科である体育がない日は、俺にとって地獄だった。だが、授業を受けない訳にはいかない。意識が途切れかけたか、何とかシャーペンを走らせノートをとった。

6時間目が始まって30分くらいだった時だった。

『ビー!ビー!』

『侵入を確認!生徒は直ちに避難せよ!』

突如鳴り響いたサイレンとアナウンスに、俺は反射的に

「逃げろ!早く!」

と叫び、俺と駒井は教室後方にある鉄製の重いドアの中に入って行った。視界の片隅に普通のドアから避難するクラスメイトが見えたが、俺たち2人だけは鉄の扉の中に入った。中は滑り台になっていて、地下に繋がっていた。下に降りるとほかのクラスのやつも、結構来ていた。

「久しぶりだな!」

とか、

「なつかしー!」

とか言いながら、みんな戦闘服に着替えだした。

戦闘服は防弾チョッキを着た後に、上から着るタイプだっだ。そして、戦闘服には『School Defense Corps ー学校防衛隊ー』と書かれたワッペンがついていた。そのワッペンを久々に見て興奮していると、ノイズ混じりの声で、

「生徒の避難完了!学防隊、応戦せよ!」

と放送が入った。俺は無線に向かって

「学防隊、Dー01分隊、応戦します!」

と叫び、仲間達と銃を持って戦いに入るのだった。そう、この国は今、争いが起きているのだ。

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