ー魔法少女システムー
1話ー1 とある日常より
ここは日本、西暦2067年東首都・東京――かつて唯一の首都であった地の、とある区の学園。
2050年代に発生した霊的な災害【
世界を覆うほどの超巨大魔生命体により、多くの国家が壊滅的な被害を受けた。
中でもその災害の中心地であった日本――超巨大魔生命体が放った高収束魔粒子波により、列島がほぼ半分に分断された。
その後溢れた無数の余波により――東京都心は壊滅的なダメージを受けた。
災害収束後は機能が麻痺した都心復興まで、被害が軽微(それでも
そして現在――この国において、表裏からの支えになっている組織があった。
日本古代以前――幻の都【ムー大陸】から日本国誕生後も、連綿と受け継がれた
それは世界異変や大災害他、それらに該当するあらゆる事象に対する最終防衛機構の役割を担っていた。
先の大災害【
大災害後、日本首都が都市機能を失いかけた際も、【三神守護宗家】は総力を持って国家機能回復に従事――そして現在も国家の中枢を支え続けているのである。
****
国立師導学園・初等部特科区画――休み時間にこの学園で御馴染みの風景が展開される。
春も過ぎ、新入生や進級した初等科生も勉強に慣れ始めた頃の事である。
「あの……、姫さま……!」
普通の学園ではあまり馴染みの無い呼びかけに、一人の少女が声の方へ思わず振り向いた。
ふわりと舞う金色の御髪――二房の縦ロールがやんわりと巻く、ツインテールが異国良家のお嬢様を思わせる。
結ったリボンとそこかしこに配されたアクセサリーが、大きな瞳の色と重なる若草色――呼びかけた下級生と思しき少女の言葉が、正しく的を得ているかの様な可憐な容姿。
「これ……。お菓子作ってみたんです……。その……よかったら……。」
「私は……姫さまじゃ……、……うん……アリガト……。」
振り向いたツインテールを揺らす少女は、〈姫さま〉と言う呼称に意見しようとした――が……下級生の恥らう姿と、心を込めて作られたのは明白である手作り菓子にあえなく押し切られてしまう。
【三神守護宗家】により災害後――すでに出資運営を行っていた関連施設を新たに経営転換され生まれた学園、それが【国立師導学園】である。
発生が予見されていた事象への対応――【
その特別保護と教育を担う役割に、学園と言う形が最適と判断したためだ。
「相変わらず大人気おすな……テセラはん……☆」
「もう……!からかわないでよ
テセラと呼ばれた若草色の瞳が輝く少女――隣り合って立っていた黒髪の友達の言葉に、少しうつむき視線を遠くへ移してしまう。
彼女はどうやら〈姫さま〉と言う呼称を好ましくは思っていないようだ。
この学園は表向きの体裁が名門扱い故に、お嬢様学校の二つ名で呼ばれる事もしばしばで――親しい女子児童の先輩に対し後輩が、お姉さまと呼ぶのはよく聞く日常である。
――が、〈姫さま〉と呼称されるのは若草色の瞳の少女だけなのだ。
「私はそんなに特別じゃないもの……。皆と同じだよ?姫さまとか……まるでどこか遠い国の人みたいで……。」
「そない難しに考えんと……。上級生の
「あんまり変わんないよぉ……(涙)」
彼女は学園が擁する学生寮――小・中・高の生徒らと同じく学園専用寮に滞在する。
師導学園に通う生徒は魔力干渉を受けた者を始め、身寄りが無い――また深い事情により家に帰省出来ないなど、日々をただ生きる事も困難な子供達が大半を占める。
そんな子供達が、再び社会の愛情の中で暮らせる様――学園を経営する【三神守護宗家】関係者は災害以来日々尽力していた。
その中で若草色の瞳の少女テセラは、とある場所で【三神守護宗家】が引き取り――宗家の一派である、【ヤサカニ家】によって保護され……特別な優遇を受けていた。
国家防衛の要【三神守護宗家】――日本で知られる所の【三種の神器】を物質的・精神的に受け継ぎ、それぞれ神器の名を宗家の家名として名乗っている。
そして、テセラの友達である口調が独特の黒髪少女――名を【
宗家と同等の権力を持つヤサカニ家次期当主筆頭候補である。
【
「んもう、難儀やな~~テセラちゃんは~~。もっとこう、気楽に行きまひょ☆ほらほら次の授業、始まるえ~~☆」
「あっ、ちょっと……
はんなり関西系の口調がかわいい友達の説得にも、やはり気乗りしない若草色の瞳を輝かせる少女――授業の始まりへ、強引な友達の押しと共に向かうのであった。
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