第14話 異世界に呼ばれた意味

「あぁ、そういえば、肝心な話をしていませんでしたね。今日ここに来ていただいた理由。本当にすみません。自分から呼び出しておいて、大事な話をしていないなんて、どうかしてましたね」

「いや、なかなか切り出さなかった、僕も悪いですから。それに関係ない話まで持ち出しましたし」

「そんなことありません。せっかくの休日なのに、あたしの都合で使っちゃうなんて、とんでもないことですし・・・・・・。じゃなくて、あれですね。きちんと説明しないと。ちょっと付いてきてください。」

 彼女はそう言って、先導するようにして歩き出した。その後についていく。改めて、歩く城内は広い。はじめて来たときは、城の使いの方に連れられて、女王陛下の前に呼ばれたあと、すぐに実戦参加させられ、場内をゆっくり見る余裕などはなかった。その後も同じで、ほとんどは城の外で過ごすことの方がほとんどだった。だから今通っている通路もはじめて見るところばかりだ。

「一体、どこに連れていく気ですか?」

「もうちょっとです。我慢してください」

「わかりました」答えて、彼女のあとに黙って付いていく。

 さきになにがあるか。想像がつかないが、彼女の様子からして、仕事に関わることではなさそうだ。

 彼女に連れられ、城内の階段をどんどん上がっていく。城の最上階にでも行くのだろうか。彼女の足取りは軽いように見えるのは、気のせいだろう。登り慣れている様子だ。もともとこちらの世界の住人だから、当然と言える。

「どこ行くんですか?」

「もう少しです。頑張って」

 外から見ていたから知っていたが、城全体の高さはかなりある。だから、ちょっと登ったからといって、最上階までたどり着けない。最上階には展望デッキがあったはずだ。学校でいうなら、屋上といったところか。そんなシチュエーションで、なんの話があるのか、すごく気になる。まさかの話はないと思うが、期待だけは高まる。

「ここです」

 彼女が階段をさきに登りきり、外への扉を開いてた。扉の向こうから光が差しこんで来る。眩しさに少し目を細めるが、すぐに慣れる。見晴らしが良い、城外の様子が見える。城を中心として、城下街が広がっている。城は一番高い丘の上にあり、街は外に向かう程に徐々に低い位置になっていく。

「いい眺めでしょ?」

「本当に」

「気に入りました?」

「えぇ、でも、なんでこれを?」

「この街のこと、知っておいて欲しいんです。せっかく繋がれたんですから」

「繋がれた?」

「そうですよ。あたしが生まれた世界と、河野さんが生まれた世界。なんで繋がったか、知ってます?」

「なんでですか?」

 彼女は悪戯っぽく笑って言った。

「知りません」

 知らんのかい。笑顔が眩しくて、ツッコミは言いそびれた。

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