第6話 光を纏い来る者

 怪物よりも早く、学校へついたが、やはりと言うかここも大騒ぎの大混乱状態だ。


 「茉莉! いるか! 茉莉!」


 とにかく茉莉の無事を確認したい。いそうな所を手当たり次第に探してまわる。


 廊下を駆けて、部屋と言う部屋を探し回って、最後に行き着いたのは図書室。


 ドアを開けると、そこには茉莉の姿が。


 「茉莉! 無事か!」


 「無事よ、アンタは?」


 「バッチリだ」


 とりあえず茉莉はみつかったし、怪我も特には無い。なら、ひとまずはOKだ。


 「あの化け物……あれ、アンタが今朝言ってた……」


 「今はそんな事気にしてられない、とにかく逃げるぞ」


 もう化け物は目前まで来ている。早く逃げないと。


 「ジャジャギィイイイ!」


 耳をつんざく奇声をあげて、化け物が持っていた電柱を、力の限りこっちに投げつける。


 「クッ……」


 もうこれまで。後は死を受け入れるだけしか、俺たちには残されていない。


 そう思っていた矢先――上空から光の刃が急速に接近してくる。 それは俺達に迫ってくる電柱を粉々に打ち砕く。


 「なんだ……? 何が起こった……?」


 いや、俺は昨日、たった今起きた事と同じ体験をした。


 得体の知れない化け物に襲われて、絶対的な窮地に陥った時、あいつは颯爽と来てくれた。俺は空を見上げる。


 そこには、光の翼を広げた鋼鉄の巨人の姿があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る