第4話 再開、最悪の悪夢と
放課後。またの名を魂の苦悩と束縛からのリベルタリア。
結局、何事も無いまま平穏無事に過ごせて何よりだ。
「コタロー、ラーメン食うぞ!」
ガクがラーメンを啜るジェスチャーをしながら近付いて来る。
達匡も一緒だ。
「何? 昼めっちゃ食って、まだ足りないの?」
「駅前に最近出来たラーメン屋が評判よくってよ!
いっちょ味見と洒落込もうぜ!」
あー、そういえば最近駅前に出来てたな。
「で、達匡も行く感じ?」
「こいつがどうしてもって、聞かねぇんだよ」
「そこはほら、ガクだし?」
まぁいい。腹は少し減っているし、試しに行ってみるか。
真新しい内装のラーメン屋は、昼飯時は過ぎているのにも関わらず、
中々に賑わっている。
カウンター席に三人並びで座って、それぞれ好きなラーメンを注文。
しばらくして目の前にラーメンが並べられる。
「んじゃあ! 食うか」
割り箸を豪快に割って、ガクは特盛の豚骨ラーメンを啜る。
達匡は普通の塩ラーメン、俺は魚貝出汁がウリらしいつけ麺を食べる。
鰹節の風味がなんともいいカンジ。これは中々いい。
「外が騒がしいな」
黙々とラーメンを口に運んでいた達匡が、外の様子を気にかける。
「おい、なんだあの化け物……」
達匡の言葉につられて俺も外の様子を見る。
明らかに周囲の建物よりも巨大な異形が店のすぐそこにいた。
「ウオォォオオオ!? なんじゃアリャァアアアア!?」
「うるせぇぞ、ガク。取り乱してんじゃねぇ」
激しく驚愕るガクと、対照的に極めて冷静な達匡。
俺はと言うと動揺の中にもどこか冷めた感覚が混じった気持ちだ。
10本の巨大な触手に、おぞましい目は二つ。
鋸のような牙をびっしりと口に生え並ばせて、
イカと蛸を合わせたかのような頭部には奇怪で、
威圧的な印象を受ける模様が浮かんでいる。
細部が微妙に違うが、それでも大まかな特徴は似ている。
何よりあんな巨大な生命体がそう何体もいる訳が無い。
間違いない。今目の前にいるアイツは、昨日俺が湖で見た化け物だ。
「生きていたのか……?」
昨日の出来事が鮮明にフラッシュバックする。
やっぱりあれは……昨日のあれは見間違いじゃなかったんだ。
「コタロー、ガク。ボサッとするな。ここからはなれるぞ」
歯痒い話だが、あんな化け物が相手となると、
抗戦したところで勝ち筋は万に一つもありはしない。
俺もガクも特に異論を唱える事は無かった。
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