お値段異常

 コンビニで缶コーヒーを買おうとホットドリンクのコーナーを見る。

 お、新しいコーヒーがあるなと手を伸ばしたところで「300円」という値札が目に入って手を引っ込めた。危ない危ない、騙されるところだった……。

「あんた、うちのどこにそんな金があるのさ!」と、うちのナナコにどやされてしまう。

 まあ店も騙すつもりは無いんだろうけど、プレミアムって書いてるだけで普通に並んでいるから、値札に気付かなかったらレジまで持って行って、ピってされてあらビックリってなっていただろう……って同じように値段に驚いたことがあったのを思い出した。

 

 以前、大手文房具店でボールペンを探していたときのこと。

 仕事で使う書きやすいボールペンがないかと試し書きをしていたら、凄く書きやすいボールペンを見つけた。

 値段は……と見ると「3000円」と書いてある。さっきから同じコーナーで300円~1000円くらいのボールペンを試し書きしていたので、急な物価上昇にちょっと驚いた。

 買おうかどうか迷っていたけど、書き易さも1000円くらいのと比べて全然違うし、給料も入ったところなので良いかと思って奮発して買うことにした。

 とりありず、ここにあるの持って行けば良いかな? 3000円もするからレジで在庫の箱に入ってるるやつとかと交換してくれるだろうと思いつつレジへ。 

 ピッとされて「5000円になります」

 3000円が5000円になった!? と思って細いボールペンに張られた値札をよく見ると「5000円」と書いてあった……。

 5000円は流石にちょっと……と芋引こうとする自分がいたが、いや俺も男だ持ってけて泥棒! という気持ちで5000円札を叩きつけるような気持ちでそっと置いた。

「ありがとうございました」

 細長い小さな紙袋にサッと入れられスッと渡されたボールペン。

 箱とか……せめて、けがれもないままの真新しいボールペンを用意してくれたり……と本当の幸せを教えてほしい気持ちだったけど、僕にとってはこんなもの500円程度のボールペンを買うようなものさって感じで成金ぶって、飾られた店内から押し寄せる人並へと、僕はのまれていったのだった。


 そういえば、今月は25日が日曜日だからもう給料が入ったんだった。

 奮発して高い缶コーヒーでも飲んでみよう。

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