クソまみれの元旦
20歳になった年の大晦日、僕は友人KのアパートでKと二人で過ごしていた。
Kの実家から送られてきたという伊達巻があった。Kは伊達巻をあまり好きじゃないらしく、僕は一度も食べたことが無かった。僕は生まれて初めて食べた伊達巻きに「なんて美味いんだ!」と衝撃を受けて、一人で2本分くらいを食べ尽くした。
酒はあまり強くないけど日本酒は好きで多少飲み、気分良く年を越して深夜に眠りについた。
早朝、下半身に冷たいものを感じて目が覚めた。漏らした!? と寝小便をしたかと焦ったが前の方は濡れていないし、気のせいかとホッとしてまた眠りにつこうとした……が、すぐに僕はこの逃れらないクソッたれの現実へ引き戻されたのだった。
漏らしていた……。
お尻が少し冷たかった。
水分多めのクレイジーシット。
まさか糞便を漏らしているとは思わなかった……20歳になり、成人して今まさに大人の階段を登っているところで、バッと階段が滑り台状になって滑り落ちていった気分だった。
不思議とお腹はゴロゴロとする感じだけで痛いということは無かったが、トイレに行くと、やつらはゲートから勢い良く解き放たれた。
とりあえずKを起こして事態を説明。寝ぼけているKのパンツを借りて事無きを得る……いや、事あり過ぎだけども。
二人ともまたすぐに眠りについた。
数時間後、目が覚めた僕は全てを水に流したかった。
また漏らしていた……。
Kを起こし、もう一枚パンツを借りる……借りたというか貰ったんだったな。
トイレに行ってひとしきり出して戻る。
しばらくして気づいたらまた漏れていた……。
もう僕の尻は僕の意思とは関係なく、歴史の波に飲まれるかのように無ケツ開城したようだった。
ハッキリと覚醒したKからは「お前に貸すパンツはもうない!」と罵倒されたが、もう履かなくなった水着(ブーメラン)があるという事で最後の慈悲を与えられた。
それから何度か漏らした。
漏らして、拭いて、また履いて……。
Kは「最初から水着を履かせときゃ良かった」と言った。
布団などパンツ以外のものを汚すことが無くて幸いだった。
昼頃には完全に流出は止まった。
そのまま水着を履いて僕はKのアパートを出た。
以前、椎名誠のエッセイにあった、うんこを漏らした話を読んで「大の大人がうんこ漏らすなんて何やってんだシーナさんは……50歳にもなって、まったくバカなおっさんだ」と、大変笑わせてもらったことがある。まさか自分が大人になってそんなバカな事態になるなんて……しかも50歳で初めて漏らしたシーナさんより、20歳で初めて漏らした僕の方が生涯クソ漏らし回数が増える可能性が高くなる……。
そんな事を考えながら、僕は電車に揺られて家へと帰った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます