その27-2 返事はNOディース!

「父さんが……奴隷?」

「貴様ッ――」


 怒りと動揺で顔を引き攣らせながら、トッシュは強引に青年の身体を引き起こし、その胸倉を掴み引き寄せた。

 しかしその途端、ウエダの背後で様子を見ていた彼の部下四人がほぼ一斉に動き、トッシュを引きはがすと羽交い絞めにする。

 なおのこと必死の抵抗を見せる彼に向かって、男達は懐からナイフを取り出しそれをチラつかせて見せた。

 

「やめろ! アリには関係のない話だろう!」

「組合長はどうも娘さんの躾けがなっていないようですのでね、ここらで大人しくしていただきく思いまして」


 まったく鬱陶しい。親子揃って毎度毎度、タイミング悪く自分の前に現れては邪魔をしてくる。いい加減辟易していたところなのだ――

 吠える様に叫んだトッシュに平然とそう言い放ち、ウエダは呆然と佇んでいる碧眼の少女を再度向き直る。

 真っ青な顔で唇を噛みしめ俯いていた少女は、青年のその視線に気が付くと、怯える様に一度身を震わせた。

 だがそれでも母親譲りの気丈さを双眸に浮かべ、アリは弱々しくも彼を睨み付ける。

 強い娘だ。さすがは組合長のご息女。

 だがしかし、それでこそ壊し甲斐がある――

 既に勝利を確信したように少女を見下ろし、ウエダはどう料理しようかと食指を動かすように口の周りを一度舐めた。

 

「い、いい加減なことを言わないで! あなたに何がわかるっていうのよ! 父さんが奴隷だなんて――」

「七年前、この街では大きな奴隷の反乱が起こりました。この街にいた全ての奴隷が自由を求めて決起した、それはそれは大きな反乱」


 対象トッシュから確実に奴隷を奪い返すために、下調べをしていた結果わかった事実。

 これは脅しに仕える――

 その事実を知った時、ウエダは思わず感嘆の声をあげていたほどだ。

 しかもつい先ほど判明したさらなる衝撃の事実。

 この奴隷の姪が組合長のお嬢様。ということはだ――

 嗚呼、言いたい。言わずにはいられない。


「貴女のお父さんはその反乱の首謀者でした」

「……首謀者?」

「ええそうです。首謀者! リーダー! 大罪人! これがどういうことかわかりますか?」

「ウエダッ! もうやめろ!」

「――貴女のお母様はその『大罪人』と交わりそして娘を作った――これはこれは……クックック、組合長の立場としては大問題じゃないでしょうか?」


 堰が切られた彼の饒舌は止まらない。

 飛びかかる勢いで吠えたトッシュの言葉を無視して、ウエダは徐々に少女へ顔を近づけつつ、問い詰める様に言葉を紡いでいく。

 サディスティックな欲望を瞳に灯すその青年の視線に、アリは蛇に睨まれた蛙のように動けずにいた。

 それでもきゅっと口を真一文字に結び、涙をいっぱいに貯めながら少女は耐え続ける。


「嘘よ、父さんは……私の父さんは船乗りだって母さんが――」

「……組合長が? そう言ったと?」

「そうよ! 今も船に乗って世界中を回って――」

「それはそれは可哀想に、お母様に騙されていたんですね」


 少女の話を聞いてきょとんとしていたウエダは、やがてさも滑稽であると言わんばかりにほくそ笑んだ後、同情の眼差しを彼女へと向けた。

 開いた口をそのままに、アリは青年が放った言葉を受け、意外そうに目を見開く。


「騙されて……?」

「ええ、そうです。だってそうでしょう? 反乱は重罪。例外なく縛り首――生きているわけがないじゃないですか」

「……どういうこと? 待って、それじゃ父さんは――」

「もちろん、死にましたよ」

「……死んだ?」

「ええ、貴女が生まれる前にね」


 この男は今なんといったのだろう?

 死んだ? 誰が?

 嘘だ。

 嘘だ、嘘だ、嘘だ!


 父さんは船乗りで、今もきっとどこかの海で旅をして回っているんだ!

 そう、父さんは――


 あれ? でも……父さんってどんな顔?

 叔父さんのお兄さんだから、きっと私と同じ碧い目と紅い髪で、きっと大きくて優しくて――

 優しい? どうしてそんなことわかるの?

 会ったこともないのに?

 生まれてから一度も会ったこともないのに?――


 そうだった。

 全て母さんが話してくれたこと。

 私は一度も父さんと会ったことがない。

 

 それじゃあ

 やっぱり


 私の父さんは――


 

「ウエダッ! いい加減にしろっ!」

「事実を伝えて何が悪いのです? むしろ今の今までひた隠し、お嬢様を騙し続けていた組合長の方が問題ではないでしょうか?」

「違うっ! 義姉さんはいずれ話すつもりだった! アリが大きくなったらその時――」

「遅かれ早かれ真実は変わりませんよ?」


 とどめだ――

 ふり解こうと暴れるトッシュに黙っていろと手を振りながら、ウエダはアリの前に屈みこむと、嗜虐に満ちた笑みを浮かべ、再び彼女を覗き込む。

  

「組合長も優しいお方ですねえ、貴女の存在は彼女にとって『爆弾』のようなものなのに。いつ爆発するかもわからないお荷物スキャンダルを抱えるお母さまの気持ちも知らず、貴女はのうのうと生きてきたわけだ」

「……やめて――」

「貴女は大罪人から生まれた娘……そうとも知らずにお母様にも騙されて、可哀想なお嬢様」



 ワタシハ ドレイノムスメ

 ワタシハ カアサンノオニモツ――



 傷口にさらに刃物を突き立てるような、残虐で鋭い言葉。

 心が折れた。

 精一杯の意地で堰き止めていた涙が、ぽろぽろと少女の頬を伝い、顎の先から床に落ちる。

 ぎゅっと目を閉じ、アリは殺すようにして嗚咽を漏らしながら、静かに泣いていた。


 

♪♪♪♪


 

 社長の命は絶対だ。

 お嬢様にはばれぬよう――確かにそう言われている。

 だがしかし。

 この状況を静観することは『家族』として許されぬ行為である。


「……だやい」


 低く殺気を帯びた声と共に、澄んだ金属音が聞こえて来て、日笠さんは我に返った。

 ウエダの語った衝撃の事実に思わず言葉を失っていた彼女は、しかし敏腕秘書のスーツの袖から飛び出していた刃に気づき、ぎょっ、と目を丸くする。

 彼女の事を冷静沈着で感情の起伏がない女性だと思っていた。

 どことなく物事を冷めた目で見る女性なのだと思っていた。

 けれど違ったようだ。


 ドアノブを握るその手は耐える様に震えていた。

 束ねていた長い髪も怒髪天を衝くという表現がぴったりなくらい、膨らみを帯びていた。

 なによりもいつも澄まし顔を浮かべていた彼女のその表情は、わかり易いほどに『怒り』を露にし、そしてその双眸は、ドアの隙間から見える冷酷な笑みを浮かべた青年を真っすぐに睨み付けていた。

 

「あ、あのシズカさん?」 

「あの男は、一度首を刎ねられないと立場が分からないようで」

「く、首!? 落ち着きましょう? ね、冷静に――」


 ああこの人、実はこういう人だったんだ――

 と、こんな状況にも拘わらず嬉しそうに共感しつつも、だが刃物はまずい、と日笠さんは思い直し、今にも飛び出そうとしていたシズカを諫める。


 と――

 

「ひぎぃ!?」

 

 やにわに中から情けない悲鳴が聞こえて来て、二人はなんだ?――と中を覗き込んだ。

 二人の視界に見えたのは、お尻を抑え飛び跳ねる恰幅の良い青年と、その後ろでケタケタと笑い声をあげるバカ少年の姿。

 訳が分からず、二人はお互いを見合い首を傾げたのだった。

 

 

♪♪♪♪



 数十秒前。

 

 ズブリ――

 身体の中に響いてきたその衝撃に、愉悦に浸っていたウエダは目を見開いた。

 穴が熱い。焼ける様に熱い。あまり言いたくないが『あの穴』だ。私の穴に何かが侵入した――

 数秒後に、尻の穴から脳に伝わって来た激痛に、思わず息を呑み。

 青年商人は悲鳴をあげつつ飛蝗のように飛び跳ねていた。


「ひぎぃ!?」

「ムフン♪ ジューネンゴローシ!」


 奇襲成功。

 彼の背後にこっそり忍び寄っていたツンツン髪の少年は、鼻の穴を大きく広げて得意げに一つ息をつく。

 このガキ、いつの間に?!――トッシュを羽交い絞めにしていた男達は面喰らいながらも、主に危害を加えたかのーを止めようと足を踏み出そうとした。


 刹那。

 かのーは持っていた棒をクルリと一回転させると、尻を抑えながら着地したウエダの喉元に突き付ける。

 ソーはトンヤがおろさないのディスヨ!――と。

 何か言おうと口を開きかけていたウエダは、突き付けられた棒を寄り目になって見つめつつ、仕方なくゆっくりと両手をあげて無抵抗の意を示していた。


「これはこれは……ノーマークでしたよ」


 ギオットーネでも見せていた、目の前の少年のすがすがしいまでの『臆病者チキン』っぷり。

 こいつは勝てない相手には手を出さない腰抜けの部類だ。そう思っていたのだが――

 意外そうに眉根を寄せて尋ねたウエダに対し、だがかのーはケタケタと笑ってみせる。

 

「てっきりあなたは、我関せずを決め込んだのだと思っていたのですが?」

「ソーディスね、この店がどーなろーが、スーのダディがドレイだろーが、オレサマには関係ナイシー?」


 かのーは空いていた右手で鼻をほじると、ぴんと鼻クソを飛ばしながらあっけらかんと答えた。

 呆気に取られて様子を窺っていたトッシュは、まさしく『他人事』といわんばかりに、なんとも無思慮にそう言い放った少年を睨み付ける。


「なら話は早い。どうか邪魔をしないでいただ――」

「けど、オレサマのコブンを泣かしたら話は別ディス」


 絶望に俯き、嗚咽を堪えて泣いていたアリはかのーの放ったその言葉を聞き、ゆっくりと顔をあげる。

 いつもどおりの人を小馬鹿にしたような物言いだった。

 糸のような目も、逆三角形をした締まりのない口も相変わらずだった。

 しかし放たれたその言葉には、普段の少年からは到底考えられない『知り合いへの冒涜に対する怒り』という感情が端々に感じ取れたのだ。

 

「コブン……? ああ、こちらの『奴隷』のお嬢様のことで? それはそれは、てっきり私はあなたの方が――」

「おいエセトルネコー。テメー何しにここに来たんディスカ?」

「何しに来たとは?」

「ズングリに勝てないから、娘にヤツアタリしに来たディスカー? カッコワルー」


 ヘイヘーイ、相手間違えてるヨー。ついでにオウチも間違えてマスヨー? モシモーシ? 脳みそ入ってマスカー?――

 ニヤリと笑いながら上半身を前に出し、かのーは煽るようにしてウエダのおでこを軽くノックする。

 不快な小僧だ――ウエダはヒクリと口の端を引き攣らせながらも苦笑を浮かべてみせた。


「……これは心外ですね。もちろん、ここに逃げこんだ奴隷を譲っていただくためですよ」

「だったら、関係ないコトベラベラ喋ってないでとっとと本題話せヨ」


 ムフン! と大きな鼻息をついて、かのーは突き付けていた棒をゆっくりと下げる。

 それを見てほっと溜息を吐き、ウエダは両手を降ろした。

 刹那――

 キランとバカ少年の糸目が光る。


「これは失礼致しました……少々興が過ぎたようで――」


 仕切り直しとばかりに青年がそう話を始めた瞬間だった。

 一瞬の隙をつき、風を切ってフルスイングされた棒が、青年の尻を思いっきり叩き上げる。

 油断していたウエダは、ややもって臀部に走った強烈な衝撃により、またもや尻を抑えて悲鳴をあげたのだった。


「ひぎゃっ!?」

「ブフォフォフォー! ホームラーン! オレサマのコブン泣かしたヤツと話なんかするわけナイデショー? バカナノー?」


 こいつから先に子分アリにケンカを売って来た。じゃあこれは子供ガキのケンカだ。

 ならば簡単、気に入らないやつはぶちかませ!――少年の本能はそう指示ゴーサインを出していた。

 ざまあみろとばかりにケタケタ笑い、かのーは一回転させて手元に棒を戻す。

 コン――と、床に打ち付けられた棒が放った、涼しい木の音色に、アリは我に返ったように目を瞬かせた。

 


―ガキはガキらしくぶちかましてサー、そんで蹴っ飛ばしてアイツとケンカすればいいジャン―



「カノー……」

「ぐっ、一度ならず二度までも……あなた一体何を――」

タレパンッ娘アイコはやんねー、マメッ娘ハルカもアゲナーイ! ついでにパン屋も奪い返す!」


 返事はNOディース! とっと帰れこのエセトルネコ!――

 本領発揮とばかりに胸を張り、バカ少年はウエダ目がけて親指をクイッと下に向けてみせる。


 面白い、実力行使というわけだ。ならば話が早い――

 臀部をさすりながらウエダは男達を振り返り、顎をしゃくって合図を出した。

 途端に男達はトッシュを離し、持っていたナイフを構えてかのーを睨み付ける。

 だが睨み付けた先に既にバカ少年の姿はなく、彼等は『?』を頭上に浮かべ、どこに行った?――と、忽然と姿を消してしまった少年を捜すように周囲を見渡した。

 

 と――

 

「ドゥッフ、ボーリョクはヨクナイヨー」


 不意に二階から探していた少年の声が聞こえ男達は階段上の物置ロフトを見上げた。

 そして一瞬のうちに階上まで退避していたかのーの姿を発見し、彼等だけでなくウエダもトッシュも、そしてアリまでも一斉に顔に縦線を描く。

 こいつ逃げ足はええな――と。


 だがしかし――

 

「そこまでです」


 静かではあるがよく通る女性の声が店の奥から聞こえて来て、かのーを追いかけようと足を踏み出した男達を制した。

 振り返ったウエダは、そこに見えたスーツ姿の敏腕秘書と、その後ろを追ってやってきた魔法使いの装束を纏った少女に気づくと忌々しそうに舌打ちをする。


「シズカさん……」

「トッシュ様、申し訳ございません。一部始終を拝見させていただきました」

「ドゥッフ、ひよッチじゃーん、ナイスタイミングディース! あいつらぶちかましちゃっテ!」

「もう、あなたは……見直して損したわ」


 やっぱりこいつは口だけだ――

 アリを庇って飛び出していた先刻の少年を見てちょっと感心していた日笠さんだったが、結局逃げだして階上でケタケタ笑う彼に気づき、やれやれと溜息をついた。

 そんな二人のやりとりを余所目に、シズカはウエダの前まで歩み寄ると、彼と男達を威嚇するように一瞥する。


「ウエダ様、店の中で暴れるつもりであれば捨て置けません。社長に代わって私がお相手しますが?」

「心外ですねシズカさん、私はいつだって平和的な商談を望んでおります」

「商談? あれが商談……『下の下』ですね」

「んだとこのアマ?」

「よしなさい、組合長の秘書さんです」


 と、血気盛んにナイフを構えた男達へ手を翳して制すると、ウエダは再び営業スマイルをひっぱりだして話を続けた。

 

「先に手を出したのは、そちらの少年の方ですよ?」

「先に『口』を出したのはそちらでしょう? 彼はお嬢様を庇っただけです」

「口ね……事実を言ったまでなのですがね――」

「ウエダ様。商談ではなく、タケウチ家と争いたいのであれば、そうおっしゃられてはいかがですか?」

「御冗談を、そんな気は毛頭ありません」

「ならば社長に代わって申し上げさせていただきます……『おととい来やがれ、このスットコドスコイ』――」


 トッシュも、アリも『家族』だ。その家族を愚弄されて黙っていられる程、私も社長も人ができてはいない。

 やるのであれば、是非もなし――殺気を伴う鋭い視線をシズカから感じ、ウエダは思わず言葉を詰まらせる。

 この女の素性は調べがついている。情けない話だが、今の戦力で乱戦になった場合、勝つのは至難の業だろう。

 まったく時間がないというのに。かくなるうえは――

 やれやれと肩を竦め、ウエダは踵を返すと構えていた男達に顎をしゃくって合図を出した。


「仕方がありません。今日の所は出直すことにしましょう。トッシュさん、良い返事を期待していますよ?」


 そう言い残し、青年は部下を引き連れそそくさと店を後にしていく。

 余韻を残すベルの音と共に一触即発の雰囲気が過ぎ去ると、途端にかのーは階段の手すりを滑り降り、入口に向かってぐっと親指を下げていた。

 

「バーカバーカ! もうくんなヨー!」

「現金なやつ」


 額を抑えて頭を振りながら日笠さんは肩を落とす。

 だが――

 嵐は去ったものの、店に残ったのは気まずい静寂と暗い空気だった。

 ドヤ顔で笑い続けるバカ少年を放置して、日笠さんはアリを振り返る。

 碧眼の少女は先刻と変わらず俯いたまま唇を噛みしめ、鼻を啜って泣いていた。


「アリ……あいつの言ったことは気にしなくていい」

「叔父さん、母さんは私を騙していたの?」

「それは――」

「社長は騙してなどおりません」


 戸惑うように言葉を濁した叔父の代わりに、凛とした声が少女の問いかけに答える。

 アリはゆっくりと社長付の敏腕秘書を向き直り、やはり悔しそうに唇を噛みながら首を傾げていた。

 

「社長はいずれ、お嬢様にも真実を話すつもりでおりました。決して騙していたのではありません」

「……シズカさんも知っていたのね」

「……はい」

「知らなかったのは、私だけ?」

「……」


 シズカは答えない。答えられない。

 どう答えてもきっと、少女を満足させる答えにはならない。そう悟っていたからだ。

 

 みんな知ってた。私だけ騙されていた。

 それはきっと、私が奴隷の娘で……母さんのお荷物だから――

 失望と悲愴の感情を顔に浮かべ、もう一度ぽろぽろと大粒の涙をこぼし、アリは踵を返すと店の奥へと走りだす。

 

「アリ!」

「アリちゃん?!」

「……みんな嫌い」


 呼び止められた少女は、振り向かずにぼそりと一言そう呟くと、店奥の階段を登り屋根裏部屋へと姿を消していった。

 数秒後に勢いよく扉がしまる音が上から聞こえて来て、トッシュは腰に手を当てやれやれと俯く。


「トッシュ様、申し訳ございません」

「シズカさんのせいじゃあない。しかし――」


 どうしたものかと途方に暮れるトッシュ。

 珍しく困り果てた表情を浮かべ、嘆息するシズカ。

 

 そんな中、場の空気を一切読まない腹の虫が大きく店の中に鳴り響き――

 

「ドゥッフ、腹減ったディスヨ!」

「ちょっとは空気読みなさいよ……」


 ケタケタと我関せずに笑うかのーを見ながら日笠さんはやれやれと溜息を吐いた。

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