第3話
「えっ、どうして!? かばんちゃんはそんなことしないよ!」
「そうなのだ!」
「この名探偵の目は誤魔化せないわ! この事件は解決ね!」
そう言って高笑いをするアミメキリンの代わりに、私は前に出た。
「私が仕掛けを説明しよう。かばんは、縄を上にかけるために、これを使ったんだ」
そう言って縄で結んだ石を見せる。
「反対側を袋の重しに結んで、これを投げて、梁の上に縄を通した。梁に縄を結べば降りる時のことは心配いらない。フェネックを結んだあと、この石は切り取った」
「仕掛けを作るのに使った縄や石は見つかるといけないから、袋の中に入れたのでしょう!?」
こんなこと、気がつけるはずがない。
袋を確認したのは、かばん自身だったのだから。
「本当に、僕でいいんですか?」
「ええ! 間違いないわ! 犯人はあなたよ!」
かばんは目を伏せて、視線を帽子のつばに隠した。
「かばんちゃん!? 嘘だよね!?」
「サーバルちゃん、僕の負けだよ。そう、犯人は、僕、かばんです」
サーバルとアライさんがざわつく。
「いやあ、バレない自信があったんですけど、難しいですね」
「分かったのはたまたまだよ。袋を自分で調べたのは、触らせないためかい?」
「そうです。何がどこにあるか自分は分かっていますから、そこは他のフレンズの皆さんに調べてもらって、どうしても危ないところだけ自分で調べれば、隠せるかなと思っていました」
やはり、恐ろしい知恵者だ。
いったいどこから考えていたのだろう。
「アライさんとサーバルちゃんはたぶん、普通に証拠を集めていけば、僕を信用してくれると思ったんです。だから、キリンさんの疑惑の目をどうやってオオカミさんに向けさせるか、そこだけ考えました」
「私に証拠を見つけさせないように、した?」
「しました。探される前に先回りして、怪しいところは全て自分で指定しました。消去法でいけば、有益な情報を発信していないオオカミさんを疑うしかありませんから」
勝てるか、と言いたくなった。
ハカセたちに比べると、頭の良さの質が違う。
知識に頼らない回転の早さ。
かばんと頭を使った遊びをするのは、チーターとかけっこをするようなものだと感じた。
「さて、二回戦、始めましょう」
「いや、もうやめよう。サーバルたちが会話に入れていない」
サーバルとアライさんは、うとうととしている。
アミメキリンも大あくびをしているところを見るに、よほど疲れたのだろう。
眠そうな三人を『ふわふわ』へ連れていき、私たちは犯行現場に戻った。
「ここを片づけたら、私たちもジャパリまんを食べてお昼寝しようじゃないか」
「そうだねー。吊るされてるのも疲れたよー」
「フェネックさん、ありがとうございました」
「いいよー、でも次は私も混ぜてねー」
道具の片づけをし終えると、アリツさんが丁度よくジャパリまんを持ってきた。
「そろそろお昼にしませんか?」
そうして、私たちの推理ごっこは、ひとまずの終わりを迎えた。
次回開催の目処は、まだ立っていない。
推理ごっこ いつき @kojyu3
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