第14話「帰還」

 遥は奏多に指示する。


「異世界転移装置の移動先を座標OW-ET-35N140E2000FLに固定。起動用意!」


「何いってるんだか分からないが、要は装置を起動すればいいんだろ?」


「まあ、それでいいよ。オペレート席からでも移動先は指定できる」


 そんな遥に奏多はこういう。


「ああ、助かる」


 すると、パラレルダイバーはワープホールに突入し、遥の居た世界に向かう。


「こちらパラレルダイバー、ただ今帰還しました」


 遥はそういいつつ通信回路を開く。


「こちらはディライト。早速で悪いが、ローゼシアが動いた」


「何だって!?」


 奏多は首をかしげる。


「ローゼシアは君の世界に侵攻している人だ」


「マジか」


 その会話を聞いた相手はこういう。


「現地人を乗せているのか。まあいい、この会話をあえて傍聴させている」


「本当ですか?」


 遥は問いただす。


「君は円花だろう?何でオペレートやってるかは分からないが、できるはずだ」


 そういって通信は切れる。


「やらなきゃいけないのか?」


 遥はそんな奏多の言葉に答える。


「だろうね」


 すると推進剤を大量に積んだロボットが二人の前に現れる。


「あれは?」


 そういう遥に『ローゼシア』はいう。


「これはスタビライザー。あなた達の機体を壊すために作った機体よ」


「成果を持ち帰らせないつもりだっていうなら!」


 遥は続けてこういう。


「移動先を座標OW-ET-35N140.5E1995FLに固定。」


 すると奏多はこう問いただす。


「異世界転移装置をそんなふうに使うつもりか!」


「今はそうするしかない、分かって!」


「いいだろう、僕も死にたくはないからな」


 そしてパラレルダイバーはワープホールを開く。


「どうするつもりか知らないけど、彼女達の狙いは成果を持ち帰ること。どうせ遠くには……」


 スタビライザーの背中にダメージが入る。


 それはパラレルダイバーの実体剣による斬撃だった。


「そんなバカな……私の真後ろに!このままでは戦闘は継続できない……覚えて無さい!」


 そんな『ローゼシア』を見た遥はいう。


「さてと、研究成果を持ち帰らないとね」

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異界漂流記パラレルダイバー 月天下の旅人 @gettenka

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