第4話「新たなる操縦者」
「まさか書類を疑うわけじゃないよね?」
そんな遥に奏多はいう。
「まあな。だがこんなのはメルヘンやファンタジーの類だ」
「異世界転移もその類だと思うけどね」
「ともかく、お前たちの世界の事情は分かった。だが女性になった以上、元の世界に戻ってどうこうはできないんじゃないか?」
そんな奏多に遥は返す。
「この世界に遺伝子レベルの性転換技術はあると思うけど、それは根本的な解決にならないよ」
すると遥の様子を見た奏多はこんな提案をする。
「それなら、そのロボットと一緒に君を保護しよう」
「でもこのロボットは二人乗りだよ?」
「仲間が死んだっていうのに冷静だな」
そんな奏多に遥はこう返す。
「だからこそだよ。仲間が死んじゃったなら、なおさら立ち止まるわけにいかない」
「そう簡単に割り切れる神経はよく分からないが……」
そんな奏多に遥はうつむきながらいった。
「元々失敗したら命にかかわる実験だと心に刻んでいたからね」
少しは悲しんでいるのか、と思った奏多だったがそれはいえなかった。
いってしまえば、恐らく遥はこらえきれず泣いてしまうだろうからだ。
「ごめんね、円花」
そういいつつ遥はミイラをテコの原理でコクピットから放り出した。
一見冷徹なようだが、女性となった遥にとってミイラとはいえ死体を担ぐのは重労働だったのだ。
実際、遥はその後近くにあった瓦礫を墓標代わりにしてミイラを丁重に弔った。
そして、遥は奏多に問う。
「使い方分かるかな?」
「格闘ゲームのコンソールみたいだな。原始的だが、一応は習っている」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます