第2話「円花の運命」

「ロボット?ああいう機械は腐るほどあるんだしそんな呼び方必要か?」


 すると遥はこう答える。


「とりあえず、転移は成功したんだね。言語が通じるのはラッキーだったよ」


「転移?どういうことなんだ?」


 理解が追いつかず奏多は問いかける。


「僕たちは異世界転移の実験をしていたんだ」


「異世界転移……並行世界の存在は立証されていたが、まさか異世界人が来るとはな」


 奏多は驚いていたが、それでもありえることだという言動であった。


「僕にとっては君の方が異世界人なんだけどね」


「言葉の綾だ。それはそうと何故異世界転移の実験なんてやったんだ?」


 奏多の質問に遥はこう答える。


「僕の世界では人口爆発が問題になっていてね。今の水準を維持しながら生活しするため、宇宙に希望を見いだしたんだ」


「それと異世界転移に何の関係があるんだ?」


「宇宙開発の技術開発が中々進まないから、異世界にそれを求めたんだ」


「回りくどいっていうか……というかお前らの世界って今西暦何年なんだ?」


 奏多の疑問に遥は答える。


「今は西暦2017年だよ」


「嘘だろ、そんな昔から来たのか!?」


「並行世界であれば時代が違っていても可笑しくはないよね?」


 そんな遥に奏多は返す。


「それは理屈としては正しいが、今ですら難航している異世界転移の技術が何故?」


「僕達の国……日本は宇宙開発に資源が……そして予算も足りない」


「確かに、今の俺は日本に住んでいる。様々な国が集まり、それを監視する組織の元この世界は平和を享受している」


 そんな奏多に遥は首を傾げる。


「でも、この世界は多様性が無さそうなんだよね」


「この世界に来たばっかりで何が分かるっていうんだ?」


 奏多の疑問を遥は一蹴する。


「この一帯……統一されているのは確かに効率的かもしれないけど、無機質すぎる」


「無機質だって!?」


「平和なことはいいことかもしれない。けど、こんな閉塞的な世界になるのは良くないと思う」


 そんな遥に奏多は疑問を投げかける。


「この世界には戦争がない。自由だって保証されているのに、何が不満だっていうんだ?」


「この世界には、世界をより良くしようとする意思を感じない。平穏の代わりに停滞した世界だよ」


だが奏多は遥に突っ込む。


「まあ、それは君の感性の問題だ。それよりも、パラレルダイバーは福座式なんだろう?」


「あっ……」


 遥は我に返り、つむじから内部にあるコクピットへ乗り込む。


 だが、そこにあったのは干からびたミイラだった。


 そのミイラが円花のなれの果てなのだというのは、

遥がその所有物から辛うじて分かるくらいであった。

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