第341話 奇人変人大集合
「まあ他流試合やった方がうちも勉強になるし、別に悪意がある訳じゃないからいいけどね。たまに来ないとうちの研究会の連中も寂しがるし。
そうか、詩織ちゃんがあの杖の持ち主って訳か。まあ適役かな」
何かまあよくわからないが納得してくれたようなので、まあ俺は一安心。
でも代わりにその話題に食いついてくる奴もいる。
「そんな中で長津田は学生会長をやっていた訳か……大変だったな」
「何せ先々代が氷の女王で先代が
等々力と恩田による感想だ。
ちなみに
由来は某SF小説の黒幕さんらしいけれど俺は知らない。
風遊美という名前と白に近い銀髪という外見、そして一見冷徹そうな雰囲気からそう呼ばれていたらしい。
俺のイメージの風遊美さんとはかなり違うけれど。
ちなみに俺のイメージで風遊美さんというとこたつ蜜柑の感じかな。
でも世田谷さんは悪そうな笑みで口を開く。
「でもルイス君と詩織ちゃんに聞いたわよ。本当に最強なのはここにいない現会長と副会長だって。それにジェニーちゃんの探査魔法を併せたら、おそらくこっちが認知する前に全滅ものだろうって」
おいおいルイス、何という事を言うのだ。
「買いかぶりですよ。こちとら魔力瀬戸際で魔法工学科以外では入学不能レベルですから」
「でも長津田、入学当初より大分魔力増えたよなあ」
これは高井戸だ。
こいつは入学当初から攻撃魔法科の並程度に魔力を持っている。
魔法工学科にしては珍しい学生だ。
「それに常に異常な魔道具持っているしな」
等々力に追い打ちをかけられる。
ならば仲間を売ってでも自分の安全を確保しよう!
「確かにジェニーの魔法はこの島全域プラスα程度の範囲で悪意を持っている人間を把握できる。薊野さん……妹の方も確かに強力な魔法を持っているけれど本人は使いたがらないし公にしていないからこの場限りにしてほしい。
でも俺の魔法はご存知の通り審査魔法と修理魔法、物品加工魔法が基本だぜ。火風水土木氷光闇どの魔法も持っていないし」
「何か北の島で工作員の集団相手に大立ち回りしたって噂を聞いたような気がするけどな」
あ、新地先生まで俺の攻撃に回りやがった。
「噂は噂ですから」
「瞬間だけ現れた詩織ちゃんを瞬殺した話も聞いているわよ」
そんなのあったっけ……ああ、去年のホワイトデーでそんな事もあったな。
「あれは工学系魔法を使える人間は誰でも使える簡単な魔法です。三半規管内のリンパ液を出鱈目に動かしてやるだけという……」
「普通の魔法工学生は瞬間でその場所を認知して精密操作するなんて技は持っていないと思うなあ」
高井戸は要所要所でのんびりした口調で厳しく攻めてくる。
よろしい、ならば
「それを言ったら高井戸なんて工学系以外に風魔法使いだろう。それも飛行可能という冗談レベルの」
「僕のは発動遅いし攻撃向きじゃないなあ。せいぜい旅行用ってところだねえ」
「それも充分異常だと思うわね」
世田谷さんの感想。
よし、話題が俺から逸れた。
「それに恩田の審査魔法最適化形態なんてまさに課題破りの反則魔法じゃないか。設計でもプログラムでも最適化方向が見えるなんて魔法工学科では使用禁止ものだろ」
「禁止はされていないぞ、まだ」
「あと等々力、お前の腕力加工は魔法じゃなくても人外だから。普通の人は金属素材を腕力で0.01ミリの精度で加工したりはしないから」
これは筋力だけでなく絶対魔力も併用しているだろうと俺は思うのだ。
何せ300キログラム重位の力を任意の方向から腕力だの何だので無理やり出して、金属板なり棒材なりを精度0.01ミリで加工するなんて絶対人間技では無い。
例え等々力の肉体が見た目にもマッスルだという事実を鑑みてもだ。
「あと、当然闇属性魔法を使う希少種にも抗弁権は与えられません」
と世田谷さんも追加しておく。
要は色々個性豊かな面子が集まってしまったという訳だ。
集められてしまったのかもしれないけれど。
あ、天才にして天災で変態な上野毛が入っていないから集められた可能性は低いかな。
奴は魔法制御工学の長原研究室で上手くやっているだろうか。
見かけと仕草としゃべり方は女子にしか見えないが中身は変態男子だからな。
数少ない友人としてはとっても不安だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます