第335話 何となくしょうもなく
午後3時過ぎに寝てしまった連中は、生理的反応として真夜中に目をさましだした。
そして食べ物や娯楽を探し始める。
結果俺と詩織ちゃんが大量に買った惣菜や弁当類は犠牲になった。
まあ予期していたからこそ大量に買ったのだけれども。
そしてソフィーが取り出した例の分析機でゲームをやっているうちに、夜は明けて朝になる。
そして朝のバイキングでまた食べ過ぎたのと夜通し遊んで眠いのとで、ほぼ全員倒れ込み……
見事な昼夜逆転生活の完成だ。
まあ俺とロビーは10時には詩織ちゃんに叩き起こされ、秋葉原への買い出しに行ってきたのだが。
他にはジェニーとソフィーもふらふらと昼前に出ていったらしい。
でも大多数はそのままホテルで眠り続け……
◇◇◇
皆がまっとうな状態で集まったのはもう午後6時になろうかという頃だった。
何故その時間に集まったかというと、理奈ちゃんがSNSで集合をかけたからだ。
集合場所はホテルから歩いて3分程度のカラオケボックス。
夕食付きソフトドリンク飲み放題カラオケ3時間付だそうだ。
ただこのカラオケ大会については俺は実はあまり語ることはない。
何故なら睡眠1時間で動いていた関係で、2曲歌った後意識が無くなったからだ。
再び意識が戻ったのはもう終わる直前。
なお俺以外にもジェニーやソフィー、そしてロビーは死んでいたとの事。
詩織ちゃんはタフな事にガンガン歌っていたようだけれども。
俺を含む飯を食いっぱぐれた一同は近くのスーパーで買い物をしてホテルへ戻る。
そして元気な連中に折角買った物を取られつつも何とか空腹を満たし、そしてまた倒れる。
気がつけば惨憺たる室内とともに次の朝。
何かボロボロ状態まま朝食バイキングを食べ、チェックアウトして山手線と京浜急行を乗り継いで空港へ。
島の空港から例の小さくて乗り心地悪い満員のバスでマンションに帰宅。
「何か今回の旅行、後半がボロボロだったよね」
という由香里姉の評価に頷きつつ、自室のベッドに倒れ込む。
うーん、確かに今回の旅行、東京編がボロボロだったなあ。
ただ、宿はどこも良かったと思う。
最初の古式ゆかしい宿も2泊目の寺も、東京でのホテルも。
やっぱり食事のせいで生活リズムが狂ったのが最大の敗因か。
夏の旅行はもう少し考えないとなあ。
でも夏の旅行の幹事は香緒里ちゃんで、宿ももう予約済みなんだよな。
そんな感じで意識を失いつつある時……
ふと俺は何か違和感を感じた。
いや、これは違和感ではない。
人の気配だ。
気づくと俺がかけている掛け布団の上に大の字になって寝ている奴がいる。
「こら詩織、お前の部屋は向こうだろう」
詩織ちゃんは動かない。
目も開けずに返事だけを返してくる。
「やっぱり畳より安物ベッドよりこのベッドのマットが寝心地いいのです。旅行で疲れたので失礼するのです」
ついでとばかりに掛け布団の中にもぞもぞ入り込んできやがる。
おいおい。
でもまあ、追い払う気力も今の俺には無い。
結局次に目が覚めるまで、俺もそのまま睡魔に身を任せてしまったのだった。
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