第246話 道場破りの顛末は
「私達は道場破りに来た!誰が攻撃魔法科のルイス・ヴィンセント・ロングだ」
「僕だ」
ルイスが軽く手を上げる。
「我々は学生会に試合を申し込む。いざ尋常に勝負願いたい」
「修先輩、ちょっと行ってきていいか」
当然俺は頷く。
「どうぞ。何なら詩織も引っ張って行っていい」
「わかった」
ルイスはにやりと一瞬笑って、そして立ち上がる。
「おー、何か1年前のルイスを思い出すれすね」
「言うな、それは」
ルイスはちょっと苦い顔。
そう言えば1年前の今頃、ルイスは奈津季さん相手に一戦してボロボロ状態になったんだっけ。
歴史は繰り返しますなあ、と思いながら3人で生暖かく見送る。
◇◇◇
いつもの屋上露天風呂。
風遊美さんがいないしソフィーもロビーと隣同士の樽湯で会話中。
なので俺はぬる湯で思い切り伸びている。
ルイスがぬる湯の対角線上にいるが、彼なら別に気にしなくていいし。
「今日はルイスが大活躍だったみたいじゃないか」
隣の浴槽から奈津季さんが話しかけてくる。
奈津希さんは同じマンションに住んでいることもあり、今でもほぼ毎日この部屋に来ている。
風遊美さんは週1回ペースになったけれど。
それにしても。
「何でそれを知っているんです」
話が早すぎる。
「もうネットで更新していたぞ」
えっ、それはまさか。
「『
「ああ。そんな名前だったな」
「あれは奈津希さんが書いているんじゃないんですか」
「今は僕が書いている」
ルイスがそう自白。
まさかルイスがそんなものを書いていたとは。
「元々はルイスが修行日記として自分用に書いていたんだ。で、面白くないからジェニーと2人で色々直してHPに掲載した。今では完全にルイスが自分で書いている。
今日は炎の魔法使いと氷の魔法使い相手に圧勝したようじゃないか」
ルイスは照れくさそうに下を向く。
「前に奈津希先輩にやられた事と同じ方法だ。魔力は確かに大きいけれど使い方がまだまだ甘い」
「全開の炎魔法と氷魔法を通り抜けたり、挙句の果てに詩織を1人で戦わせて相手にデコピンさせるというのは意地が悪くないか」
「あれは奈津季先輩が由香里先輩相手に戦った時と同じ、空気の層をつくるだけの魔法だ。詩織に戦わせたのは、それが一番実力差を認識できると思っただけだ」
奈津希さんは頷く。
「確かにあれはやる気無くすよな。こっちは何も出来ないのにいきなりデコピンされるという」
「デコピン5発で戦意喪失した。結構持った方だと思う」
「それで再起不能にならなければな。まあ道場破りする位の根性あれば大丈夫か」
「僕もそう思う。あれはまだまだ強くなれる」
何か相当えぐい戦いをしていたようだ。
新人2人のメンタル面は大丈夫だろうか。
学生会会長としてはちょっと気になる。
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