第137話 小話2の4 謎で噂な秘密基地
何か最近、まわりの視線がおかしい。
俺の気のせいだろうか。
春休み中だが居残っている学生は多い。
研究会だの何だので学生が結構学内をうろうろしている。
俺も時々工房や学生会室や研究室等へ行くために学校へ行く。
その際にどうも注目を集めているような気がするのだ。
特に誰にという訳ではないのだが。
もやもやした気分を抱えながら工房へ向かう。
と、工房の前で男女学生が4人程、中をうかがっていた。
顔を見ると確か新3年生と新2年生だ。
名前は俺は知らないけれど。
「どうかしましたか」
と俺は声をかける。
「ここが学生会の工房だって、本当ですか」
「本当ですよ。中を見ますか」
以前は口外禁止・関係者以外立ち入り厳禁だった。
香緒里ちゃんが狙われていたり所属不明の工作機械があったりしたから。
でも今は安全も確保されたし中の機器の所属も学生会のものと確認されたので、積極的な広報こそしていないものの秘密にはしていない。
見学も立ち会いさえあれば自由だ。
なので俺はシャッターを開け、中が見えるようにする。
「本当だ。フライングシップもフライングベースもある」
「謎のバネ教団の痕跡もあるわ」
「とすると、まさか空スパの神像とかピンクユニコーン像も」
「それは見当たらないわね」
「あと隠し部屋へのはしごも無さそうだな」
「呪われた日本刀は飾ってあるわね」
何か訳のわからない事を言いながら中を覗き込んでいる。
「何なら中へ入ってみてもいいですよ」
と俺が言うと4人とも興味深そうに入ってくる。
まあ俺の工房には盗まれて困るほどのものはない。
香緒里ちゃんのバネ工場の方はジェニーの在庫管理魔法がかかっている。
盗まれたらその場でわかるので心配いらない。
「おお、でも大体噂の通りだな」
「永劫の竈も3つありますしね」
「禁断のベッドは無いようですね」
あまりに何かわからないことを言っているので、俺はつい聞いてみた。
「何かお探しですか」
すると先頭のおそらく3年の補助魔法科の男子生徒が軽く頭を下げる。
「僕らは探検部の取材班です。この特区や学校の調査活動をしているのですが、ここのところ噂の学生会の秘密基地を調べてくれとの要望が多くて」
「今日は下調べのつもりで来たのですが、監査さんがいてくれて良かったです」
俺はそんな噂を聞いたことはない。
「どんな噂ですか」
「印刷もしてきましたが、もしWebが見られればその方が早いかと」
との事なので俺はネット閲覧可能な制御端末に案内する。
さっきの男子生徒がキーボードを叩いてあるページを表示させた。
「もともとはテキストベースの掲示板での書き込みなんですが、誰かが書き込みをまとめたイラストを描いてアップしてくれたんです」
何やら見覚えのあるタッチでこの工房内部の鳥瞰図が描かれている。
内部には、
○ バネを崇め奉る謎のバネ教団の教会
○ 空飛ぶスパゲティモンスターの神像
○ 見えざるピンクのユニコーンの神像
○ 生贄を解体する巨大な作業台
○ 生贄を解体するための呪われた日本刀
○ 永遠に火を吹き続ける永劫の竈
○ 愛が破れた禁断のベッド
が描かれており、更に、
○ 移動秘密基地フライングベース
○ 緊急脱出艇フライングシップ
の基地を兼ねているとなっている。
更に外には、
○ 深夜全裸で踊る女の幽霊が出現
と記載がある。
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