第一章・出会い、再び

侍女のレイナ

「レイナ、紅茶をお願い」


「はい。少々おまちくださいませ」


 やっと聞きなれた自分の名に答え、レティシアはカップに紅茶を注いだ。


「お待たせ致しました。リネット様」


「ありがとう。レイナ」


 リネットの笑みにレティシアも笑顔で応じる。侍女としての仕事にも特に支障はなく、なんなく仕事をこなしていた。


「レイナも、もう仕事が一人前だな。なあ、リネット」


「もちろんですわ、カルロス様。レイナはすごいんです」


 自分のことのように、嬉しそうに笑うリネットに、思わずレティシアも笑みをこぼした。


「恐縮です。旦那様、奥様」


「そういえばね、今日城に着いたら、あいつが来るそうなんだ。結婚式以来、おまえに挨拶も何にもしていなかったからね」


「そんな、忙しいのでしょう……。ご無理なさらなくても……」


「いいんだよ。今日来なかったら、来年になっても来ないかもしれないぞ、あいつは」


 わはははと笑いながら言うカルロスに、そうですか?というようにリネットも笑った。


 そして、フラム帝国の王城へと馬車は進んでいった。

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