外へ外へ

その男は一度も部屋を出たことがなかった。成長するにつれ、閉塞感を感じるようになった。男は部屋を出ようと扉を開ける。扉の外にはひとつの部屋があった。新しい部屋をはじめはもて余していたが、しだいに慣れてくると、もといた室から閉塞感も漏れだした。男は逃れようとさらに部屋を出る。そこもまた部屋であった。猶予があるだけ男は安堵していられた。しかし、閉塞感の足がとどまるということはなかった。男はその後いくつもの部屋を開拓する。そして、閉塞感はいつも遅れてやってきた。男はついに家を出る。そこは家を包み込むひとつの部屋だった。

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