身に余る程の
俺が殺した。そのままにすら受けとれる事実。
俺が殺した。
俺の意思が。俺の弱さが。俺の好奇心が…人を一人、殺してしまった。あのときの祖父の言葉の意味を考える余裕も頭の中にはなかった。
俺が殺した。
なんども頭に響く。もういっそ死んでしまいたい。そうだアイツは俺を殺せないんだ…俺が死ぬのは困るんだ…なら死んでしまえばいいじゃないか。あの世にいったら謝ろう…優しい人だったなら、きっと俺の罪だって赦してくれるはずだよな…防災バッグの中のサバイバルツールに手が伸びた。が、それで死ぬ気にはなれなかった。
殺したはいいがどうするか。警察が来る前にできるだけ家を調べておくか…いや警察ってのに目を付けられるのは避けたい。しかし何者だったんだろうか…牧師と言っていたが剣をあれだけ軽く振り回して跳びかかってきたが、現代の牧師ってのはみんなああなのか?厄介だな。
鳴り響くチェーンソーの音。この着信音はお兄ちゃんだ。
「どした」
「じいちゃんが…殺されてる」
「は?電話するとこ間違えてない?」
「警察にはもう連絡した」
「…それでどうしたい。お母さんに代わるか?」
「いやそれはまだやめておこう…信じてくれるかわからないし」
「その通りだな全く。それだけなら切るぞ。向かうか?」
「いや、大丈夫…」
切れた。
「なんであんな落ち着いてるの…?嘘だよね…」
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