悪魔

とりあえず財布の中を見る。札束が見える。

多分あれだ、だしてもだしても金が無くならないやつだ。それで5000兆円なんだろう。

「お前、あんま驚かないんだな」

驚き過ぎて表情の作り方を忘れたよ。怖いわ。

「…なあ、お前魔導書読んでないだろ。」

読んだよ。頑張ったよ。

「もしくは飛ばし飛ばしで読んだか。」

耳に痛い‼

「じゃ、教えてやるよ、俺を喚んだらどうなるか。」

…?え、怖いよ止めてよ

「俺に願いを望むと見た通り姿を奪われる。いや奪うって表現はあんま合わないな…そして」

そして?

「俺はお前になる」

は?

「言葉通りだよ。俺がお前として生きるんだよ。そのための召喚だ。それと俺がお前じゃないって気づいた奴は殺す。」

なんかいま重要なことさらっと言ったな。


「ことの重大さ、わかってないだろ。この魔術はな、俺が人間として生きるためのものなんだよ。だからお前はお前ではいられない…ほらもう夜が明ける。親がそろそろ起きて来るんじゃないのか?」


言うのが遅い‼600文字は遅い‼ヤバイこれが本当ならここにはいられないってことだ。そういうことか!!

「ゆきひろー起きてるかー?今日始業式だぞー」

母さん!?いやまだ時間は…

「悪魔なんだぜ?俺は。時間を少し早めるくらいならそんなに難しくない。戻すのはかなり大変なんだがな…」


俺は最後まで聞かずに窓から飛び降りた。


5000兆円の財布と防災バッグを握り締めて…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る