第12話 風呂

「痛いなあ」


筧のせいで、体中がボロボロだ


「もっと手加減をしてほしいよ」


これを毎日続けるのは辛いね


「とは言え、風呂に入れるとはなあ」


満天の星空の元、俺はドラム缶のような形の風呂に入ってる


ちなみに、燃えている燃料は、誰かの能力で作り出したものらしい


「燃料の数が少ないから、早く出ろと言われてはいるけどな」


戦の炊き出しでも使うから、ある意味当たり前なんだが


「これを作ったオーヴァードは、どんなヤツなんだろうな?」


「オイラだよ」


横からいきなり声がした


「お前は何だ?」


俺は振り向く


そこにいたのは、小さな子供であった


「もしかして、迷って入り込んだのか? それならとっとと出て行った方がいいぞ。怖いおじちゃんがやって来るからな」


俺を棒切れでボコボコにするし


「やっぱ、君が新入りの人なんだね。筧さんにボコボコにされたって言う。遊びに行っていたから入れ違いになっちゃったけどさ。幸村さまが城に置いてくれる決定をしたんだから、感謝しないといけないよ」


「え?」


言っていることが分からない


「オイラも真田勇士の一人だよ。名前は望月六郎。神社にあった依り代に触れたら、異能に目覚めたんだ」


「そうか、それは大変だったな」


依り代ってのは、おそらくレネゲイドクリスタルのことだろう


レネゲイドクリスタルとは、レネゲイドウイルスが混ざった鉱物のことである


「そのおかげで、火の神の恩恵を授かれたよ。各地を転々としたが、幸村さまに仕えるのが一番性にあってるみたいだからね」


「その歳なのにか?」


俺達の時代なら、小学校に通ってるような年齢なのだが


「あ、言っていなかったか。オイラは500歳を超えているんだよ」


「ウソつけ、まだ子供だろ」


どー見ても、爺さんには見えない


「異能を授かった副作用で、体の成長が止まってしまったんだ。源平合戦の時代から生きているんだからさ」


「本当なら、凄い話だな」


俺の時代にも”ピーターパン”とか言う、長命なオーヴァードいたらしい


それならこういう話もあるのかもしれないな


「でも、君のほうが凄いでしょ? だって、未来から来たらしいんだからさ。本当なの? そんな異能があってもおかしくはないと思うけどさ」


「本当だ。謎の光に包まれたと思ったら、この時代についていた」


俺の知ってる歴史とは違うと思うが、一応こう答えておく


「ふーん。事実か判断できないけど、覚えておくよ」


そうやって、俺と望月の初対面は終わった


風呂あがり


「遅かったな。燃料には限りがあると言っておいたのに」


話が長くなったせいで、俺は筧に怒られてしまったが

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戦国クロス ブッキー @nukki

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