「間」
葵流星
彼女
私は、もう高校三年生になった。
これといった甘酸っぱい恋愛なんか知らなかった。
そして、今、私はとても後悔している。
もっといろんな人と話したかったって。
私は、小さい頃から本が好きだった。
なぜならそれはとても美しかったからだ。
別に海外の作品でも良かったのだ。
その作品がいくら私が見つめている世界よりも乖離したものでも良かった。
特に私は、恋愛モノの小説が大好きだった。
物語の少女たちはただ、自分の幸せだけを目指して自分を磨く。
その姿勢が私にはうらやましかった。
けど、大きくなるにつれて私自身にも変化があった。
それからしばらく、私と本との関係は無くなった。
中学校に上がると私を含め周りの女の子達は、美意識に目覚めた。
早い子は、小学校の頃からだった。
私もその影響を受けた一人だった。
気づけば私の部屋には、ファッション誌が多くあり、毎週のように買っていた。
化粧品も親に頼んで背伸びとばかりに良いものを使っていた。
そうだ、何で気づかなかったんだろう。
中学校の頃、仲の良かった友達が学校に来なくなった。
私は、心配になってたまに連絡はした。
けど、それ以来その子とは連絡が取れなくなった。
だけど、私はこういう事は珍しくない事だとわかり、
私はそれからもただ、学校に通っていた。
そして、高校生になって。
友達が「「退学」」した。
わけがわからなかった。
そして、また前と同じように連絡をしたが、
会話はできたもののそれ以外では彼女にまだ会っていない。
なんで気づかなかったんだろう。
私は、同じクラスの男子生徒を好きになった。
私は、ただ思いのまま彼に告白した。
「あの、私と付き合ってくれませんか?。」
生まれて初めての告白だった。
けれど彼の口からは私の予想とは違う答えが提示された。
もし私が「「普通の」」女子高生だったら、きっと「「OK」」してくれた。
けど私は、「「普通」」じゃなかった。
「ふざけんなよ、不細工!てめえ、自分が何してんのかわかってんのか!」
訳がわからなかった。
私が何をしたというのだろうか?
私は、それを彼に聞いた。
「知ってんだよ、お前があいつを売った事!」
それはある他愛のない会話の一つだった。
私は、ただ彼女に金を稼いでいい化粧品を買いなよ。
っと、言っただけだった。
その結果、彼女は自分の身体を売り。
結局、退学という道を選んだという。
けれど、告白した当時の私はそれを知らなかった。
そして、それを知ったのがちょうど少し前だった。
私は仲の良かった友人に失恋から電話をかけた。
ただ、話をしたかった。
けれど、どの番号にかけても、どのアカウントにメッセージを送っても、
返って来ることはなかった。
しばらくして、私は受験へと目を向けた。
皆が一生懸命に取り組んでいるからただ、その流れに従っただけだ。
もう私は、すっかり立ち直っていた。
そして、ファッション誌を全て邪魔だからと処分したところ、
昔、読んでいた恋愛小説を読んだ。
そして、読み終わると私はそれを本棚に戻した。
すると、隙間から一枚の紙切れがあった。
真っ黒だった。
とても汚かった。
自分の字だった。
私は、それを一枚捨てるとさらに奥から一枚、丸まっているのが一枚と・・・。
気がつけばおぞましい数の紙が見つかった。
嗚呼、そうだった・・・。
その時、私は鏡台に写っている自分の姿が見えた。
そこには・・・化け物が写っていた。
化粧品でどんなに隠そうとしても隠しきれず、
どんな香水を使っても消えそうにない、
醜悪な形とにおいを纏った化け物が私だった。
それでもなお、私はここにいる。
青春というものはどのようなものだったのだろうか?
今の私には、本やドラマくらいでしか知るすべを持たない・・・。
「間」 葵流星 @AoiRyusei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます