濡れた髪

「早く起きろよ!いつまで寝てるんだ!」

僕はその小さな体の全てを使って急かすベルの音に起こされた。

ふと、そいつに目をやると時刻はもう午後11時。


"夜ご飯も食べてないや。食べなきゃなぁ。

ダイエットなんてその辺の女子高生じゃあるまいし。"


冷凍庫からチャーハンを取り出しレンジに入れ3分半待った。


テレビとクーラーの電源を入れ、少しの間時間を潰す。


たった3分半。されど3分半。

そのたった3分半がとても長く退屈なものに感じた。


今日も自分は自分に素直になれなかった。

あいつの優しさにも、あいつの指摘にも素直になれなかった。

結局、僕は僕だし。変わるかどうかも僕次第。


そんなことを考えながらご飯を食べ、浴室でも同じことを考えていた。


"髪乾かすの面倒だなぁ。もう寝よう。"


濡れた髪をそのままに僕はベットに横になった。

目を閉じれば蘇るあの日のこと。

きっと今日はまたいつもの夢を見るのだろう。

おやすみ。世界。

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