Fake World Wonder Land

蒼野 遥

一瞬の輝きと憂い

たった一瞬。

たった一瞬の世界の美しさを見た。

数秒前までの僕の世界に対する"絶望"は消えて失くなった。

くだらない、つまらない、僕が見ている世界。

あの日、僕は大きな口を開けてこの世界の全てを飲み込もうとした。

無理だった。吐き出した。

汚い。僕の汚い涙と胃液と鼻水とがグチャグチャに混ざったそれは、まるで僕が今まで見てきた世界のようだった。


前者の僕。後者の僕。一体どちらが正しいのだろう。

分かるはずもなく、とぼとぼと教室をあとにし屋上へ向かった。

無になり空を眺める。

雲の流れ、太陽は徐々に沈み、今日が終わっていく。

グラウンドでは片付けをする運動部の部員。それからマネージャー。

先生は一日の疲れと溜まった仕事をカバンに詰め車に乗りこみ家に帰る。

僕はそれを見るといつも安心する。

いつも檄を飛ばす教師も自分や職場、人間に対する疲れを抱えて生きているんだと。



今日は家に帰って寝よう。

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