比翼の鳥が羽ばたくとき⑥ 勝利


「あ、そうだ。お蕎麦って年明けてから食べてもいいんだっけー?」

「いいんじゃないか? せっかく用意したんなら」


 お母さんが炬燵を抜け出して、ぱたぱたとキッチンに走っていく。

 テレビは新年を祝いながら、次のコーナーに進んでいく。

 私はスマホに溢れた通知を見下ろしながら微笑んだ。


 こうして、新しい年が始まっていく。

 こうして、新しい私たちが始まっていく。




 ――どうだ、綾井結女。


 これで、私の勝ちだ。



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