比翼の鳥が羽ばたくとき④ 想いは決まっている


◆ 伊理戸結女 ◆


 年末のテレビ特番が、迫り来る年明けへ向けて助走を始めている。

 夕飯を食べて、いったんお風呂に入り、そしてなんだかんだと時間を使っていると、年が変わるまであと三〇分を切っていた。


 私はソファーに座り、ぼーっとテレビを眺めている。炬燵に入らないのは寝てしまいそうだからだ。昼寝はしたから耐えられないほどではないけど、やっぱりご飯を食べてお風呂に入ると、自動的に身体が寝る準備を始めてしまう。


 水斗も同じソファーで横に座っていた。距離は一人分くらい空いていて、手すりにぐだっともたれかかっている。


 テレビの前の炬燵には、今はお母さんと峰秋おじさんがいた。テレビの芸人さんのボケを見て笑っている。


 今年が終わるまで、あと三〇分。

 私は一ヶ月と少し前、自分に誓いを立てた。今年中に水斗に告白されなかったら、自分から告白する、と。


 その誓いは、達成されていない。

 意見は一致したと思う。

 想いは通じたと思う。

 それでも、言葉の形にはなっていない。


 私たちは学んだはずだ。勝手に察し合うのには限界がある、と。

 だから言葉が必要だった。

 これからの私たちを決定づける、明確で明白な言葉が必要だった。


 それが形にならないまま、宙ぶらりんで、新年が迫る。


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