全ては伝聞

 気付いたら、俺はぼんやりと白い天井を見詰めてた。何をしていたのか、みたいな直前の記憶は無くて、ただただ虚脱感が俺の体を支配していた。……空っぽになったような感覚。何か記憶が確実に無くなっていた。


 ……何時の間にか、俺の横には親父が座っていた。俺は眠っていたのか?

 そんな現実逃避紛いなことを考えながら、俺は親父と目を合わせた。


「オハヨ、親父」

「……あぁ、起きたか」


 俺は首を傾げた。親父の顔には、明らかに憔悴の色が浮かんでいたから。

 体を起こして、俺は親父に尋ねた。


「どうしたんだ?」


 ……親父は答えなかった。辛そうに笑い、そして俺の頭を撫でたんだ。何時もはされないことをされて、混乱した。


 暫くして、親父は漸く口を開いた。そして俺に、……教えた。お前のしたことの全てを。忘れ去ってしまう、その前に。

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