第3部 エピローグ
楠木 智香
「先輩♪ ご飯一緒に食べましよ♪ 」
お昼休みの時間に凜ちゃんがお弁当箱を2つ持ってやって来た。
「いいよ、じゃあとりあえず食堂に行く?」
そう尋ねると凜ちゃんは首を横に振って
「ここでいいですか? 」
と言って俺の右隣の慶次の席に座る。
「朱音♪ 私も一緒でいいかな? 」
俺の返事を聞く前にリーシャが席をくっつけてくる。
「うぅ~っ…。リーシャ先輩今日は朱音先輩と二人っきりで食べたいのですが…」
そういってリーシャを見つめるとリーシャは笑顔で『イ・ヤ・だ♪ 』と言って自分のお弁当箱を開けて玉子焼きを箸で掴み俺の口元に運んでくる。
「ん? 何コレ? 」
「何って玉子焼きだけど? ほら、あーんして♪ 」
いや、何で今日はこんなに積極的なの? いつもだったらここに真琴と慶次も居て4人で食べてるのに(たまに縁)今日はよりによって慶次は風邪だし真琴は学年のクラス代表者会議とかいうのに行ってて居ないし誰もリーシャを止める人物が居ない…。
「うぅ~っ、ダメです! 今日はこのあいだのお礼がしたいんです! それに今日はもう1人連れてきたので…」
そういって1度教室の外に出たあと、そのもう1人を連れて戻ってくる。
「先輩、先日は本当にごめんなさい! 」
そういって教室に入ってきたのは楠木さんだった。
「一緒に食べる? あっ、俺の手作りだけどもし良ければコレ食べてみて♪ 今回、上手く出来たんだよ♪ 」
そういってミニ春巻を箸で掴み楠木さんの口元に運ぶ。
「えっ、あの、その…。あーん? 」
驚きながらも楠木さんはミニ春巻を食べる。
「フッ、フグゥゥ~ッ! なっ、なんですかコレ!? 」
どうやら今日のハズレは俺のだったらしい…。
「コレ、かなりかりゃいんですひぇど! 」
だってハズレはハラペーニョ春巻だもの…。
「ごめん、ごめん♪ 実は俺、妹の美鈴の分も作ってて春巻とか餃子とか中味が分からないようなおかずを1品作って片方にはハラペーニョとかデスソースとかを使うんだよ…。ごめん、今日は俺のおかずだったらしい…。今度上手く出来たら楠木さんの分も作ってくるから、また一緒に食べようぜ♪ だからそんなに畏まらないでくれ♪ 」
そういうと楠木さんは顔を真っ赤にして涙を流しながら『もちろんです! 』といって笑いながらペットボトルの水を飲み干した。
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