このあいだはど~も!

「朱音、楓から連絡があったよ! どうやら相手側が動き出したみたいだよ! 」

 やっぱり今日動いたか…。

 俺は縁から動きがあったことを聞きながら忍と田之倉に連絡をする。

『やっほ~っ! 動きがあったから俺らも動くぞ』と2人にメールを送ると『了解でーす』と返信がくる。


「それじゃあ行こっか! 」

 そういって俺達、よろず部は生徒会室に行くことにした。

◆◇◆◇

「だぁ~か~ら! 会長の下着姿を盗撮した動画をこのあずまくも?って男が見てたんだよ! 私達だけじゃなくて智香ちかも見たって言ってるんだよ! 」

 リーダー格の女の子はそういって隣で頷いている女の子を指差す。

「はっ、はい…。私もみっ、見ました! 」


 そういって智香と呼ばれた女の子は泣き出してしまった。

「ほら生徒会長、智香も怖くて泣いちゃったじゃないですか! この変態には被害にあった生徒に慰謝料を払わせるべきです! 智香も撮られたんだよね? 」

 リーダー格の隣に居る女の子が智香さんに尋ねると彼女は泣きながら頷く。


「だ、そうだけど…。どうなの東雲しののめ君? 」

 お仕事モードになっている楓さんが生徒会室の扉を開けて俺に尋ねてくる。

「いや、楓さん…。俺がやってないってことぐらい一緒に盗撮犯を捕まえるために捜査してたんだから分かるでしょ? 」

 そういって楓さんを見ると彼女はニヤニヤ笑っていた。


「さてと、そろそろ本題に入ろっか? あれ? 君達ってこのあいだ凜ちゃんを体育館に呼び出してリンチしようとしてた子達だよね? このあいだはど~も♪ 」

 そう尋ねると女の子達は急に黙ってしまう。

「黙ってても証拠は挙がってるからさ♪ 先生達も君達に手を焼かされるってボヤいててウチらよろず部に今回の盗撮犯を見つけてくれって依頼がきたんだよ…。多少手荒なことはやってもいいって許しも得てるんだよ♪ 逃げられると思うなよ♪ 」


そういって笑うと女の子達は慌てた様子で『知らないし! 何? 私たちが盗撮したって言うの! 証拠があるっていうならその証拠を見せろよ! どうせうs……』

 生徒会室のテレビに彼女達が智香さんに何かを指示してカメラを設置させている画像と彼女の財布からお金を取って笑っている映像が映る。


「どう? まだ何かある? コレは明らかに恐喝と強要だよね? やって良いことと悪いことの判別ってつく? やったことを正直に話せば誰か1人助けてやる…。あとは全員警察と相談しろ」

 そういうと彼女達は仲間割れを始める。

「私はただ見てただけなんです! 実行犯は智香です! 彼女がやったんです! 」


 女の子が1人助けを求める様に話始める。

「それは智香ちゃん? の意思でやったの? それとも誰かが命令したの? あっ、ちゃんと答えないと俺は警察に知り合い居るから調書と違う答えだったら助けた奴でも警察に連れていくからね♪ 」

 そういうと彼女はリーダー格の女の子を見て


「彼女が命令してました。智香のお金を盗って遊んでいたんですけど智香のお金が無くなって、彼女が『お金が無いなら楽して稼ごうぜ』っていって盗撮した映像を高値で売ることにしたんです。私達は盗撮には反対してました! 」

 口割るの早っ! えっ、本当にお前達は友達なの?

「ふざけんなよ! 私だけじゃないだろ! お前らだって『あっちの方に設置した方が良いんじゃない? 』とか言ってたじゃない! 」

 おぉ~っ、始まったよ仲間割れ♪


「言っただけで命令してないですぅ~っ、いつもそうやってリーダーぶってるけど、ぶっちゃけお前なんか何かあったときの身代わりだかんな! 私達はお前に従ってたっていえば罪が軽くなるから…。やっぱバカでよかった~! リーダーなんでしょ? 早くごめんなさいしてこいよ! 先輩も分かりましたよね? 実行犯は楠木くすのき智香さんで計画は彼女、鏡石かがみいし友子ともこです! 見ていただけの私は何もしてません! 全てお話したので私を許してください! もし許してくれるなら抱かれてもいいですよ? 」


 ヤバい教室の外から殺気が…。

「あっ、そういうの興味ないんで…」

 まったく興味ないわけじゃないんだけど…。そう言わないと生命の危機を感じた。

「もしかして先輩ってホm」

「それは絶対に違うから! 」

 何故そっちにいく! んなわけ無いだろ!


「さてと、どうしようか朱音君…」

 楓さんが俺を見つめてくる。

「そんなん決まってるじゃないですか智香さん。いくらイジメられてて強要されたからって自分のやったことは分かってるよね? 」

 智香さんに尋ねると彼女は『ごめんなさい』といって泣いている。


「悪いと思っているならこれからどうするべきかも分かってるよね? 」

 そう尋ねると智香さんは頷いて『きちんと謝りたいです』と泣きながら訴えてくる。

「ねぇ、何で全部正直に話したのに私じゃなくてソイツが許されるの? おかしくない?」

 猫を被っていた女の子が俺に近づいてくる。


「ねぇ朱音、無理だった…。ふざけるな! イジメをしておいてよくそんなことが言えるな! 何もしてないってことはイジメをしているのと同じなんだ! そんなことも分からないのか! 」

 生徒会室の扉を開けて縁が怒りながら入ってくる。

「いや、それは俺も思ってたけど縁は外で待機って言ったじゃん…。準備は出来たの?」


 そう尋ねると縁は頷いて『準備は出来てる。いつでも出来る』そういって智香さんをイジメていた女の子達を睨み付けて指を差して

「君達はこの子をイジメてお金を恐喝して楽しかったかもしれないが彼女がどれ程苦しんだのか理解しようともしなかった! よって君達は有罪だ! 」

 そういって縁は生徒会室に隠していたカメラを持つ。


「今までの内容は職員室に居る先生達に見てもらってる君達に厳しい処分がくだることを祈ってるよ」

 そういって縁はスマホを取り出して何処かに連絡をする。

『もしも~し! 橘さん教えちゃって良かったの? 』

 スマホからはリーシャの声が聞こえる。

「うん、大丈夫! それより先生達は何て言ってる? 」 

 

 縁がそう尋ねるとスマホから

『そこに居る5人と智香さんは職員室に今すぐ来てね♪ お話があるから♪ 』

 低くドスの効いた声が聞こえる。

『と那奈ちゃんが呼んでいるから朱音と橘さんで全員連れてきてね…(那奈ちゃん怖いから絶対に連れてきてね! (小声))』

 そういって電話は切れてしまった。


「それじゃあ職員室に行こっか♪ そこで自分達が何をしたのか、きちんと理解して反省しな♪ 楓さんも連行するの手伝ってください」

 女の子達はガックリと項垂れて抵抗する様子はなかった…。

 これにて一件落着!

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