夜の学校…
キーンコーンカーンコーン
チャイムが午前の授業終了の合図を告げる。
「それじゃあ部室に行ってくる」
そういって教室を出ると
「待って、私も行く! 」
そういって、後ろからリーシャがお弁当を持って追いかけてくる。
「それじゃあ部室に行こう目安箱もついでに確認してから行こう」
そういって俺はリーシャと一緒に部室に向かう。
「あっ、朱音! 待ってたよ♪ 」
そういって縁が手を振ってやって来る。
「ん? 何で待ってる必要があったんだ? 確か縁って隠れて部室の鍵持ってたよな? 」
不思議に思い、縁に尋ねると縁は下手な口笛を吹いて知らないふりをする。
「まぁいいか…。とりあえず依頼が2通きてたから確認しながら昼ごはんにしよう」
俺は加藤先生から預かった部室の鍵を使って中に入る。
「あっ、朱音…お弁当作ってきたんだけど、もしよかったら味見してみてくれないかな? 上手く出来たと思うんだけど少し不安で…」
不安だからって俺で毒味をするなよ…。
俺は不満に思いながらもリーシャが作ってくれたお弁当を食べる。あの告白の1件があって移行ちょくちょくリーシャが花嫁修業と称し手作り弁当を持ってきてくれる。なので今日は教室でなく部室に行こうとしたのだ。
物凄く意外だったのが実はリーシャ、ハーフなのに煮物がかなりの腕前で俺よりかなり上手い!
「リーシャの煮物やっぱり美味しいね♪ 」
そういってお弁当を食べながら依頼が書かれている手紙を見ると
「ちょっと依頼主呼んでくる! 」
そういってお弁当をローテーブルに置いて部室のドアを開けると…。
「やっほ~、おにぃ! 」
どうやら依頼主の方から俺達のところに来たみたいだ。
「お前、この依頼内容はどういうことだ?」
そういって美鈴に手紙を突きつける。
「あっ、それ? どういうことだ? って言われてもその依頼書の内容のまんまなんだけど?」
いや、おかしいだろ…。
「そんなに不思議な依頼なのか? 」
そういって縁が俺の持っていた依頼内容の書かれた紙を見る。
「ん~? なになに…、『おにぃ! 夜の学校に出るんだって! 何が? 勿論お化けに決まってるじゃん! 生徒会(私と楓さんと雪の3人)で見廻りに夜の学校に入る許可を貰ってるからよろず部のみんなもお化け退治に付き合って! 』別に手伝ってもいいんじゃないか? 私は賛成だぞ♪ 」
そういって縁は俺とリーシャを見つめてくる。
「そう? じゃあ今日の夜7時ね♪ じゃっ、よろしく! 」
そういって美鈴は用件だけ伝えて帰ってしまった。
「おばっ、おばっ、おばばばばばば…」
壊れたロボットのようにリーシャはフリーズしている。
そういえばリーシャってお化けとか苦手だったんだ…。
とりあえずもう1つの依頼を見てみよう。
『ボールの数がかなり少なくなってしまった。探すのを手伝って欲しい! 野球部一同』
とりあえず野球部の依頼をこなすため俺達3人は野球部に話を聞きに行くことにした。
◆◇◆◇
「なるほど練習終了後にいつも確認をしているけど最近ボールの数が減ってしまったと…。盗まれたわけじゃないんだよね? 」
野球部の部長に尋ねると彼は頷いて
「部室にはきちんと鍵をかけているから盗まれることは無いと思う。結構打ち上げたりするから屋根の上とかに貯まっているかもしれなからよろず部に協力を依頼しようと思ったんだ」
どうやら、このあいだの加藤先生との1件以来なぜか高所の依頼が増えてしまった。
「それじゃあ手分けして探そうよろず部はよろず部で探してみるから野球部は野球部で探してもらえるかな? 2人とも脚立を取りに行こう」
縁はそういって野球部の部室を出ていってしまった。
「俺達はとりあえず先に校庭を念入りに捜索してみるから部室棟の屋根の上の捜索は任せたからな」
お前らは屋根の上、探さねぇ~のかよ! と文句を言いたかったが先に行ってしまっている縁を2人で追うことにした。
「まったく人を都合の良い道具のように扱いやがって頼み事をするならきちんと顔を見て話をしろ! 朱音! さっさと見つけて終わりにするよ! リーシャ君も手伝ってくれ! 」
そう怒りながら脚立を取って、今来た道を戻っていく。
「部室棟の屋根に届くのか? 結構な高さだったよな? 」
疑問に思い縁に尋ねると縁は頷いて
「届かないと思うけど長い棒だったり水を流したりして取れるだけ取ろうと思う」
そういって縁はリーシャにホースを渡して俺には
「よし、ちゃちゃっと終わらせよう! 」
その後、野球部の部長が予測していた通り屋根の上には無数のボールがあり屋根の溝に填まっていたので高枝鋏で突っついて外したのはよかったのたが、屋根の傾斜が俺達側の方が下だったので雨の様に降ってきました。
俺達は降ってきたボールをカゴにかき集めて野球部の部室に持っていく。
縁は終始不機嫌だった…。原因はたぶん野球部の部長だろう…、彼は手伝ってもらって当然といった態度でお礼も言わなかったからだ。
「まったく! なんなんだあの態度は! 私達はお前らの召し使いじゃないんだぞ! あぁ~っ、イライラする! 」
なんだろう俺もあの部長の態度にはイラッとしてたけど周りに俺以上に怒っている人が居るせいか割りと俺は冷静でいられる。
「あぁ~っ、うん…。まっ、良いんじゃない放置で! いちいち相手にしてたら大変なだけだし」
そういって縁を落ち着かせようと声をかけると怒りの矛先は俺に向いてきた
「まったく朱音も朱音だ! あんな態度取られたのになんで平然としてるんだい! もっと怒ってもいいんじゃないかな! 」
そういってブスッとした顔で俺を見つめてくる。
「いや、縁が怒ってるし俺がこれ以上怒っても仕方ないし、怒ったからって何も変わらないじゃん」
そういって縁に微笑みかけると縁は悔しそうに
「分かってる、分かってるけど私の大切な友人と恋人にあんな態度とるんだもん! 悔しいじゃん! 」
そんなことをいっているあいだに時間はあっという間に下校時刻になったので俺達は帰路に着いた。
「それじゃあ6時30分ごろ迎えにくるからな準備しておいてくれよ♪ 」
縁はリーシャにそういって何かメモ用紙を渡している。
リーシャはそのメモ用紙を見てクスクス笑いながら頷いている。
「なにソレ? 何か必要なものでもあるのか? 」
そう尋ねると2人は笑いながら俺を見て
「「なんでもないよ」」
と言って縁は『帰るぞ朱音』と言って背中を押されて帰ることになった…。
2人は何を話していたのだろう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます