櫻祭1日目!(トラブルは付き物です!)

「お帰りなさいませ! 御主人様 」

 来店者を執事服姿で生徒会室にやってきたお客さんを迎える。

「あっ、朱音とリーシャお疲れ♪ 」

 そういって来店してくれたのは真琴と岩清水さんだった…。


「あっ、真琴と桃! 来てくれたの! 」

 そういってメイド服を着たリーシャが笑いながら2人に駆け寄っていく。

「うわぁ~、リーシャ凄く似合ってる! 」

「本当だ! リーシャ可愛い! 朱音はリーシャのことどう思う? 」


 リーシャのメイド服姿のことだよな?

「基が可愛いからな…。さらに可愛くなった…。すまん、語彙力が無くて」

 そういってリーシャに笑いかけると

「いや、そんなことない…ありがとう」

 リーシャは顔を真っ赤にさせてモジモジしてバックヤードに戻っていってしまった。


「顔、真っ赤になってたけど何かマズいこと言っちゃったかな? 」

 そういって真琴と岩清水さんに助けを求めると何故か彼女達は顔をしかめていた…。

「ちょっと朱音! 口より手を動かしてくれるかな? 」

 縁が怒りながら持っていたトレーで俺の頭を軽く叩いてくる。


「分かったよ、こちらが当店のメニューになっています。ご注文が決まりましたらお呼びくださいお嬢様」

 そういってメニュー表を渡して他のお客さんの注文を取りに行く。

「ちょっ、ダメ! ダメだって! まだその格好は早いから! 」

 バックヤードから小鳥遊先輩の慌てた声が聞こえる。


 そしてそのあとに真琴と岩清水さんが驚いている声がする。

「どうしたんですか? 」

 そういって後ろを振り向くとクマの着ぐるみを着たリーシャが居た。

「ちょっ、何やってるの!? まだ! まだダメだから! 」

 

 そういってリーシャの手を握りバックヤードに連れていく。

「いきなりどうしたの? 」

 リーシャの顔を覗き込むとリーシャは顔を真っ赤にさせて

「あっ、あのね…。朱音に可愛いって言われるまでメイド服を着ることなんて気にしてなかったんだけど可愛いって言われて急に恥ずかしくなっちゃったの…。だから着ぐるみの方が恥ずかしくないかなって思って…」


 そういって恥ずかしそうに俺を見つめてくる。

「はぁ~、いや別にそんなに気にすることじゃないと思うぞ? 確かにメイド服を着てるリーシャも可愛いと思うけど、さっき言った通り普段のリーシャも可愛いんだから…。可愛いって言われて恥ずかしいからメイド服を着ないってなったらお前普段何も着れないぞ? 」

 呆れた顔でそう言うとリーシャは顔を真っ赤にして

「そういうことじゃないの鈍感! 着替えるからあっち行って! 」


 バックヤードから追い出されてしまった…。何故顔を真っ赤にさせてあんなに怒っていたのだろう?

「はぁ~っ、話は聞いてたけど朱音君って本当にアレだよね…」

 真琴が呆れ顔で俺を見つめてくる。

 アレって何だ? 不思議に思いながら仕事に戻ると店内(教室)には不穏な空気が漂っていた。多分原因はアレだ…。


「ねぇねぇ、メイドさんLIME(ライム)教えてよ♪ メイドなんだからご主人様のお願いぐらい聞けるでしょ? 」

 そういってガラの悪い男達がメイド服を着た凛ちゃんに声をかけている 。

「はぁ~っ…。お客さん、ここはそういう店じゃないから、そういうマナー違反するなら帰ってくれる? 」

 そういって凛ちゃんとガラの悪い男達のあいだに入って凛ちゃんを違うお客さんの接客をさせる。


「んだよ! 俺達は客だぞ! それにご主人様だろ? 自分達のメイドにLIME聞いたらいけないのかよ? ってかお前の方が消えろし! チェンジ! 執事チェ~ンジ! 」

 そういって男達は中身の入っているコーヒーカップを俺の頭の上で逆さにしてゲラゲラ笑っている。

「そうですか…じゃあ警察呼びますか? いちおう言っておきますが義父さんインターポールなんですよ♪ 日本の警察動かしますよ?」


 そういって俺はスマホをスピーカー状態にして義父に電話をかける。

『朱音どうしたんだこんな時間に? 』

 電話越しに義父の眠そうな声が聞こえる。

「ごめん急に、いや実は今日文化祭で喫茶店をしてるんだけど客の男性がウェイターの女の子のお尻を触ってたりしてるんだよ…。この場合どうしたら良いかな? 義父さんから教わったジークンドーでボコボコにするのは簡単なんだけど出来れば暴力沙汰にはしたくないんだよ…」


 義父さんにそう伝えると義父は眠そうな声で

『今、菅田かんだに連絡しといたから直にそっちに菅田が行くと思うからその痴漢野郎どもを捕まえておけばいいからな』

 菅田さん? あぁ~、義父の部下で確か刑事の人だよな…。

「えっ、刑事の菅田さんだよね? いいのこんなことに使って? 」

 そう尋ねると義父さんは眠そうな声で

『All,OK! じゃっ寝るわお休み』

 そういって通話が終わってしまった。


「ということなので確保しますね♪ 」

 そういって椅子に座ってポカンとしている男達をビニール紐で椅子にくくりつける。

「あとは菅田さんが来るのを…っと噂をすれば! 」

 学校の外に覆面パトカーが停まり中から男性が降りて正門から入ってくる。


「本当に来ちゃったね…。お父さんも人使いが荒いよね…」

 美鈴が驚いた声で俺に同意を求めてくる。

「ちょっ、どうなってるんだよ! 本当に警察が来たのかよ! 」

 椅子にくくりつけられた男達はどういう状況なのか分からず狼狽えている。


「あぁ~っ、うん…。本当に来ちゃったから警察署でお話してきて♪ 」

 その言葉と同時に昔何度か会ったことのある男性、菅田さんが教室に入ってきた。

「あぁ~っ、しんどっ! えぇ~っと朱音君だよね? 久しぶり菅田です」

 そういって菅田さんが手を差し出してきた。


「はい、お久し振りです。うちの義父さんがすみません…」

 そういって頭を下げて挨拶をしているとあとからやって来た部下の様な人達がくくりつけた男達を連行していく。

「それじゃあ僕達は帰ってこの人たちを取り調べるから、頑張ってね文化祭! 」

 そういって颯爽と去っていってしまった。


「「「えっ…? えぇっ! インターポール!」」」


 うん、まぁ普通はこういう反応だよね…。

「えっ! 朱音君の義父さんってインターポールなの!」

 真琴達が驚きの視線で俺と美鈴を見つめてくる。

「う~ん、正確に言うと美鈴の実の父親で俺の義父がインターポールで働いているのは本当のことだとかは何とも言えないかな…」

 

「それよりトラブルは解決したので引き続きおくつろぎください♪ 」

 そう挨拶をしたあと小鳥遊先輩が手招きをするのでバックヤードに行くと

「このあと場を誤魔化すために踊ってもらうわよ♪ それじゃあ着替えてお姫様を待ってて! 」

 そういわれたので俺は着替えを済ましバックヤードから出て痛いものを見る様な視線を浴びながら縁達を待つことにした。





 



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