決起集会!

「うぅ~ん、確かに僕と凛ちゃんは文化祭当日はやることはないけど… 」

 そういって忍は凛ちゃんを見つめる。

「でもこんな服とか着るんですよね? 」

 凛ちゃんのスマホには昨日の俺と縁の姿が写っていた。

「私、踊れないですよ…」


 不安そうに俺達を見つめてくる。

「大丈夫、大丈夫! 2人にはウエイトレスさんしかお願いしないから!踊るのはここの4人に任せてあるから! 」

 そういって綾先輩には俺と縁、リーシャと美鈴を指差す。

「本当に踊るんですか!? 」

 そう尋ねると彼女は笑って親指をたててグッとやっていた。

 どうやら逃げ道は無いようだ…。


「と言うことらしいのでウエイトレスとしてどうかな? 手伝ってくれない? 」

 改めて2人を見つめると2人は頷いて

「そういうことなら良いですよ♪ 」

 2人がウエイトレスとしてお店を手伝ってくれることになった。


「当日のタイムテーブルはどうなってるんですか? 」

 ふと疑問に思い小鳥遊先輩に話を聞きと

「怒っていいからね! 」

 そういって小鳥遊先輩がタイムテーブルの書かれた紙を渡してくれた。

 その紙を見ると…。

「綾先輩♪ ……なめてんのか💢 何で発案者の先輩が仕事を一切しないんだよ💢 」


 そういって綾先輩にタイムテーブルの書かれた紙を見せると彼女は視線をそらして

「私は何も知らないよ? 」

 そういって下手な口笛を吹いている。

「そっか、知らないんだね? じゃあ作り直しても問題ないよね? 先輩、綾先輩のシフトを変更しましょう! 」

 小鳥遊先輩にタイムテーブルの紙を渡してシフトの変更を始める。


「ちょっ、ちょっと待って! 私の意見も聞いてよ! 」

 慌てた様子で俺と小鳥遊先輩の手元にある紙を覗き込んでくる。

「綾先輩、ホール長よろしくお願いしますね! 」

 そういって微笑みかけると綾先輩は驚きで数秒フリーズしたあと

「無理!無理だから!無理無理無理無理!」


 泣きそうな顔で小鳥遊先輩の服の裾を掴む。

「綾、私にその方法は通じないよ♪ 同情なんかしないし負担を軽減させてあげようなんて一切思わないからね♪ 何度その嘘泣きで騙されたことか…。コレは絶対変わらないから頑張ってね♪ 」

 笑いながら怒る人って初めて見た…。多分怒らせると1番怖いのは小鳥遊先輩だと理解した。

◆◇◆◇

「はい、しょうがないから私がホール長をやることになりました……。チッ…」

 すげぇやりたくなさそうな挨拶だな…。

「うそっ、嘘嘘嘘!冗談だよ! 痛い! 痛いから! 」

 小鳥遊先輩が後ろから綾先輩の太股をつねってるよ…。


「それじゃあ、頑張ろぉ~! 」

 涙目でそんなことを言われても…。やっぱり怖いのは小鳥遊先輩だな…。


 とりあえず俺達は生徒会室に場所を移動して、踊りの練習を重点的に縁と一緒に行う。

「朱音先輩、ダンス上手ですね♪ 」

 尊敬の眼差しで俺を見つめてくるけど…。

そんなんじゃないんだよ…。俺も縁にリードしてもらってるんだよ…。

「痛ッ…」 


「ごめん朱音💢少し違うステップを踏んじゃったよ💢。踊ってる時は私だけを見るんだ! 」

 スゴく小さな声で縁に怒られてしまった。

「ごめんそうだよね、分かった縁だけを見るよ! 」

 そういって縁のステップに合わせて踊る。

「それって…………」

 顔を真っ赤にさせた縁と練習を続けた。


「それじゃあ今日はこの辺で練習終了! みんなお疲れさま! 」

 楓さんの声と共に練習が終了する。

「お疲れぇ~! 」

 そういって綾先輩と小鳥遊先輩はバックを掴み帰っていく。


「それじゃあ、俺達も帰るか 」

 そういって楓さん達と一緒に俺達も部屋を出る。

「それにしても朱音先輩って料理上手なんですね♪ 今度教えてほしいです」

 そういって凛ちゃんは俺の手を握りながら横を歩き俺の顔を見つめてくる。


「先輩、久し振りに先輩の料理食べたら先輩の焼きそば食べたくなっちゃった! 先輩! 今日親は旅行で居ないので先輩の家で先輩の焼きそばが食べたいです! 」

 いや、何でいきなりそんなことを言い始めるんだ…? たぶん2人が無理だろ?

「良いですねそれ! 皆で朱音君の家で決起集会というパーティーをしましょう! 」

 何で楓さんがそんなことを決めるの?


 俺は対応に困り、美鈴を見つめると美鈴は頷いてくれた。

 縁の方を見ると楓さんが縁の頭を抑えてほぼ無理矢理頷かせていた。

 多分縁の保護者楓さんの伯母さんが様子を見てきてほしいとか楓さんに言ったのだろう。

「分かった、良いよ。ただ食材買いにいくから荷物を持つの手伝ってくれよ」


 そういって俺達は校門を出てスーパーに向かうことにした。

◆◇◆◇

「先輩、僕が韮を苦手にしてるのを知ってますよね? 」

 そういって俺がカゴに入れた韮を商品棚に戻してしまう。

「お前、好き嫌いをなくすように努力しろよ…」

 そういって再度カゴに韮を入れる。

「先輩はそうやって僕をすぐいじめる」


 忍は頬を膨らまして俺を見つめて抗議してくる。

「朱音先輩! 私もお母さんからOKが出ました! 」

 凛ちゃんは嬉しそうに腕に抱きついてくる

「あっ、朱音君! 私は海老とか蟹の甲殻類がアレルギーでダメなんだ。そこらへんヨロシクね♪ 」

 そういって楓さんはお菓子を次々とカゴに入れてくる。


「何で甲殻類ダメなのにかっぱえびせんを入れるんだよ! アレルギーなんでしょ!? 」

 そう尋ねると楓さんは首を傾げて

「えっ? お煎餅でしょ? 」

 ダメだこの娘…。アレルギーのことが分かってない…。


「ここ見て、袋にアレルギー表記があるでしょ? ここに主要アレルギー成分が書かれてて海老も表記されてるでしょ? だから海老アレルギーがある人は食べちゃダメなの!」

 そういって棚に戻すと楓さんは頷いて

「そーなんだ! いつもお手伝いさんが買ってきてくれるから初めて知った♪ 」


 もしかして楓さんって相当なお嬢様なのか? 不思議に思い縁を見ると縁は呆れた顔で頷いていた。

 どうやら楓さんはお嬢様立ったらしい…。焼きそばで大丈夫かな?

「おにぃ、アイスはおいももなかね♪ 」

 そういってカゴに大量のアイス(おいももなか)を入れてくる。


「お金たりるかな? 」

 不安そうに財布を確認すると

「いざとなれば私が払うわよ♪ 」

 そういって楓さんが財布から黒いカードを取り出すけど…。

「このお店カード使えないんです」

「へっ? 」

 財布にはカード以外なにも入ってなくて彼女はポンコツになった…。


 結局お金は俺としっかり者の雪ちゃん2人で払って、あとでみんなから1人分当たりの値段を回収しました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る