縁特製激甘ドリンク!
「材料は持った? 変態朱音」
昨日の縁のブラジャー事件があってから縁はまだ怒っていて俺の名前の前に『変態』を付けている。
「いや、だから悪かったって言ってるじゃん! そろそろ名前に『変態』を付けるのやめて欲しいんだけど…」
そう抗議すると縁は俺を見て
「だったら何でやめてって言ったのにミーちゃんを引っ張ったの? 悪意があるとしか思えないんだけど! 」
そういって怒りながら俺の事を見つめてくる。
いや、まさかあんなことになるなんて思ってなかったから…。
「悪意は無いって! 早く退かしてあげなきゃって思って…。でも本当にごめん、結果は最悪な形になっちゃったもんな」
そういうと縁は頷いて
「そうだよ! ブラは取れるしその取れたブラを好きな人が目の前で握ってマジマジと観察してるし『生温かい』とか変態じみた発言をしてくるし! もう本当に最悪だったよ!」
そういって縁はスクールバックで俺を叩いてくる。
「次、あんなことをやったら今度は責任取って私を朱音のお嫁さんにしてもらうからね! いい? 分かった! 」
俺が頷くと縁は微笑んで俺を指差して
「約束だからね! 」
顔を真っ赤にさせながら縁はそう叫んで先を行ってしまった。
この場に美鈴が居なくてよかった…。居たら絶対ややこしくなってた…。
俺も縁のあとを追って学校に向かう。
◆◇◆◇
さてさて毒…いや、味見の時間がやってきた!
家から持ってきた縁スペシャル(激甘ドリンク)の材料を調理実習室のテーブルに置く。
「ねぇ縁…、コレ全部使うの? 」
楓さんは持ってきた蜂蜜やチョコレートソース、甘酒等を見て驚いている。
「うん、俺も驚いた(材料も去ることながらその味にも…)」
調理に取りかかる縁を心配だったので見守りながら楓さんに微笑むと
「朱音さんって本当に優しいんですね♪ 縁のことをスゴく優しい目で見守ってるんだもん少し妬いちゃうなぁ~っ」
そういって俺の頬をつついてきた。
「そりゃあ心配するでしょ? 普通だと思うよ…(縁は料理腕が崩壊してるからね…)」
そういって縁の手元を見るとメイプルシロップとチョコレートソースがコップに注がれていく…。
「このあいだ、親戚の叔母さんから『縁ちゃんが生涯をともにしたいと思う相手が出来たので同棲します』って家を引っ越しちゃったんだけど、何処に引っ越したか知ってる?』って聞かれたんだけど何か朱音さんは知ってる? 」
楓さんは何か知っているのか俺を見てニヤニヤしながら見つめてくる。
「しっ、知らないです…。縁、俺も何か手伝う? 」
その場を逃げ出そうと縁に声をかけるが
「大丈夫だ! そっちで待っててくれ! 」
そう言われてしまっては何も出来ない…。
「ねぇ朱音さん、もし縁が生涯をともにしたいって言って同棲してる男性を知ってるなら彼女に人の愛情を教えてあげて♪ 断る断らないは別にして…」
そういって微笑みかけてきた。
「あっ…、うん分かった。伝えとく」
苦笑いを浮かべると楓さんは笑いながら耳元で『私と朱音さんの秘密です♪ 』と言ってウインクをしてきた。
そんなやり取りをしていると縁が
「待たせたな皆! 」
そういって縁が黄土色の飲み物を差し出してくる。
「ねぇ縁、昨日は黒かったんだけど何で今日は黄土色なの…? 」
不思議に思って縁に声をかけると
「きょっ、今日のドリンクはシェフのお任せドリンクなんだ! 」
あぁ、要するに昨日と同じものを作ったつもりだったけど出来上がりは、まったく違った物になっちゃったんだね…。
俺が諦めた顔で縁を見つめると縁は顔を赤くして
「しっ、仕方ないだろ! 私だって同じものを作ろうとしたけど出来なかったんだから!」
ということはコレの味は未知数だということなのか…。
目の前にある黄土色のドリンクを見つめる…。
「朱音さん、先にどうぞ( ゚д゚)ノ」
そういって楓さんは俺にコップを渡してくる…。
「絶対美味しいから! 飲んでみてくれ♪ 」
吉と出るか凶と出るか…。
一気に黄土色のドリンクを飲み干す…。
「ゴホッ、ゲホッ…。…れヤバい…」
そういって楓さんに飲むように促すと楓さんは目を閉じてひとくち口に含む…。
「甘っ!えっ!? 何この甘さ! 味見したの? 何をどうやったらこんな味になるの!? 」
そうなんです! この縁スペシャルは、クッソ甘いんです! 何がどう甘いか説明するとベースはメイプルシロップで底に砂糖がジャリジャリでホイップクリームにチョコレートソースさらに餡子や黒蜜のオンパレード…。コレで甘くないわけがない…。
「えっ? 確かに甘過ぎますけど入れる量を調整すれば美味しいと思いますよ? 」
どうやら此処には美鈴以外にも1人甘党が居るようだ…。
「それは本気で言ってるの雪ちゃん…」
俺が不思議そうに尋ねると雪ちゃんは頷いて
「はい、調整すれば餡子の甘さとメイプルシロップの甘さで和と洋が融合して美味しいですよ? 」
まったく理解出来ない…。
「まったく酷いな楓と朱音は! 私が頑張って作ったドリンクを不味いだなんて! 雪君や美鈴君は普通に飲めてるじゃないか! 私の料理が不味いって先入観があるから不味く感じるだけでドリンクの方は美味しいんだぞ! 」
そういって俺と楓さんを見つめてくる。
えっ!? 何、俺達がおかしいの? いやいやいや…普通だよね?
「いや、甘過ぎだから…。さすがにあそこまで甘いのは無理だって」
そういって首を横に振ると楓さんも頷いて同意している。
「だからダメなんだ、疲労回復には糖分だろ? コレは画期的な栄養ドリンクなんだ! ちなみに朝鮮ニンジンも入っているぞ! 」
それは胸を張っていう言葉なのか…? あの雑味の原因は朝鮮ニンジンだったのか…。
「それじゃあ次は私の番ね♪ 」
そういって美鈴が昨日作った料理の準備を始める。
「ねえねぇ、美鈴ちゃんは料理出来るの?」
心配そうに楓さんが俺を見つめてくる。
「暴走しなければ大丈夫です…」
基本家事は分担してやってるので美鈴も一応料理は出来ます。
「さぁ~って、やるぞ~! 」
そういって美鈴はさつまいもを洗ってひとくちサイズに切り揃えていく。
「ねぇおにぃ、ザラメ取って! 」
美鈴の指示通り、置いてある黄ザラメを取って渡す。
「それじゃあ、みんな待っててね♪ 」
美鈴の調理が始まった…。無事成功すればいいんだけど…。
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