ひと目で尋常でないメイド喫茶だと見抜いたよ
「どうかな? どうかな? 」
メイド喫茶をやることになってから5日後の月曜日の放課後よろず部の部室に行くとそこには淡い黄色のドレスを着た縁と何故かランプの魔神のキグルミ(たぶんジー○ー)を着た美鈴が居た。
「こっ、こんなフリフリしたの私には無理ぃ~! 」
助けを求めるように縁が抱きついてくる。
「先輩、どうして私はキグルミなんですか?」
美鈴にいたっては顔すら見えない。
「朱音、もう嫌だぁ~! なんだか色々削られる! もう拒否しよっ! 」
そういって俺に抱きついて見つめてくる。
「えぇ~っ、朱音君 も縁ちゃんのドレス姿、可愛いから見たいよね? 」
そういってニヤニヤ笑いながら俺を見つめてくる。
「いや、でもこんなに嫌がってるし…」
そう答えると先輩はニヤニヤしながら
「本心は? ドレス姿の縁ちゃんは可愛くないの?」
そう尋ねてくるので俺は恥ずかしがりながらも自分の気持ちを言うことにした。
「本心は、可愛いと思います…。正直、誰にも見せたくないです。でもこれだけ可愛い縁が接客をしたら集客率はハンパないと思います」
そういうと縁は顔を真っ赤にさせて恥ずかしそうに俺を見てくる。
「本当? 私、可愛い? 」
そういって俺の腕の中から俺を見つめてくる。
「うん…。かなり可愛いと思うよ…」
恥ずかしくなり俺が視線を反らすと綾先輩がニヤニヤ笑いながら
「縁ちゃん、そんなに胸を押し当てる様に抱きついちゃダメだぞ! 朱音君だって男の子なんだから可愛い女の子に迫られちゃうと照れちゃうよね♪ 」
そういってニヤニヤと俺のことを見つめてくる。
「そっ、そうなのか? ご、ごめん」
そういって寂しそうな顔で離れようとするので俺は縁を抱き『大丈夫だから、少し恥ずかしいけど、それより少しは慣れた? その格好? 』そう尋ねると縁は首を横に振って
「慣れるわけないだろ!? 正直かなり恥ずかしくて消えてしまいたいくらいだ! だけど…、その…。朱音が可愛い、見たいって言うなら頑張る! 」
そういって俺から離れて1回転して恥ずかしそうに笑う。
「将を射んと欲すれば先ず馬を射よってね♪」
そういって綾先輩は俺を射つような格好をして『バーン』と言って笑ってた。
「あっ、そういえば朱音君とリーシャちゃんの衣装(仮)も用意できたから着てくれるかな? 」
そういって綾先輩が奥から中世ヨーロッパの貴族が着ていた様な服とメイド服を持ってきた。
「あの、俺はコレを着るんですか? 」
そういって渡された服を指差すと綾先輩は笑ってメイド服を差し出してくる。
「こっち着る? 」
そんな趣味はありません! 俺は首を横に振って渡されたヨーロッパ風の服を着る。
「先輩、着てきましたけど…。何ですかこの衣装? 」
そういって部室の扉を開けるとリーシャは水色のアラビア風の衣装を着ていた。
「おぉ~っ! 朱音君似合ってる! 」
そういって綾先輩が俺のことをジロジロ見つめてくる。
「あの、この衣装は何で中世ヨーロッパ風の衣装なんですか? 」
そう尋ねると先輩はCDラジカセのスイッチをいれて音楽を流し始めた。
「この音楽知ってる? 」
そういって奥から縁の背中を押しながらやって来る。
「確かディスティニーの『美魔女と猛獣』の曲ですよね? 」
そういうと綾先輩は頷いて
「当日は2人のダンスシーンもあるから頑張って! 」
「「マジで! 」」
俺と縁は綾先輩を見ると彼女は頷いていた。
「それじゃあ今から曲をもう一度流すから踊ってね! 」
そういって綾先輩は曲を流し始める。
「あっ朱音、ほら腰に手を置いて引き寄せてくれ…」
恥ずかしくてオロオロしていると縁が俺の手を握ってエスコートしてくれる。
「あっ、ありがとう…」
そういって縁を見ると縁は真っ赤になった顔で『うっ、うん…。私に任せろ』と言っていた。
◆◇◆◇
「は~いっ、今日はここで終わりにしよっか♪ 」
綾先輩の声とともに音楽は止まり俺と縁は身体を離す。
「うわぁ~っ、予想以上に踊りって難しいんだな…」
そういってみんなの方を見ると縁以外みんなポカンとしている。
「うわっ、いつのまに楓さんと雪ちゃん達は来てたんですか? 」
楓さんと雪ちゃんを見ると彼女達は拍手をして俺達に近づいてきた。
「えっ? 何? そんなにスゴかったの? 」
俺がみんなに聞くとみんなは口を揃えて
「「うん、縁(橘先輩)がスゴかった!」」
あぁ、うん…。何となく分かってた…。
縁のステップに身体をあわせて踊り、要所要所では縁が指示をしてくれたので慣れない筋肉を使ったので少し疲れたけど思ったより楽だった。たぶん縁のおかげなのだろうとは思っていた。
「スゴいね縁! 」
楓さんが興奮して縁の手を握ってブンブン振り回す。
「あぁ、うん…、ありがとう♪ でも疲れたから休ませて」
そういって隣にいる俺に寄りかかってきたので支えながら『ありがとう』と伝えると縁は笑顔で『困ったときはお互い様だよ♪ 』と言って微笑んでくれた。
「2人ともお疲れ♪ うん、とっても上手だったよ♪ 本番はもっと上手になってると思うから本番もよろしくね♪ それじゃあ次は美鈴ちゃんとリーシャちゃんにお願いしようかな♪」
リーシャと美鈴は綾先輩に連行されて踊り始めた。
「お疲れ、大丈夫か? 」
そういって縁を椅子に座らせてお茶のペットボトルを渡す。
「ありがとう、やっぱり断らないか? 凄く恥ずかしかったんだけど…」
そういって縁は俺に尋ねてくる。
「確かに少し恥ずかしいけど、でも縁と一緒に踊れて楽しかったぞ」
そういうと縁は顔を真っ赤にして
「わっ、私も朱音と一緒だと楽しかった…。朱音となら踊ってもいいかな…」
そういって俺のことを見つめてきた。
「俺の方こそよろしくね♪ 」
「うん、任せて」
俺達がそういって握手をしていると
「おにぃ、橘先輩! 踊り方教えて! 全然踊れない! 」
後ろでリーシャと美鈴が踊り? を踊ってる?
「う~ん、私は教えるのには向いてないから朱音君と縁ちゃんに任せる! 」
そういって綾先輩は俺達に踊りの仕方を丸投げしてくる。
「あの人は、ああいう性格なんだ…。成功させるためにも私達がしっかり出来るようになって、あの2人にも教えてあげよう」
縁は俺と握手していた手を取って立ち上がり俺と縁は一緒に美鈴たちに教えることにした。
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